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2014年06月10日(Tue)

6月3日〜6月9日 etc

未踏の星空

神戸のギャラリーロイユといふ所で、山下さんの展覧会「未踏の星空 山下陽子新作展」が行はれてゐるので行って参りました。
今ではすっかり作家先生になってしまった山下さんですが、私とトモコは古くからの彼女の友人です。だって山下さんが銅版画を始める前からの友人なんですもの。

展覧会はコラージュと銅版画が大半で、一部オブジェなんかもありました。私はこの手の業界には疎いので、山下さんがこの世界でどれぐらゐの位置にゐるのか分かりません。が、さういふ事は作品の値段と売れ行きから推測できるのではないか?と思ひ、ネームに注目すると・・・。ええ!こんなに高いの!しかも、結構たくさん売れてゐる。・・・う〜ん、なんかすっかり偉くなってしまったんだねぇ、山下さん。
彼女の作風は、完全に幻想文学風のそれで、感触で言ったら野中ユリっぽいかな。どうやら幻想文学の人から本の装丁とか頼まれるみたいだし。
そんな山下陽子先生に、私とトモコは前回会った時に「『まどマギ』素晴らしいから絶対観た方がいいよ!」と強くプッシュしたもんですが・・・。

ヌードレストラン

山下さんの新作展に行かうと道を歩いてゐたら、あれ?あの人影は・・・やっぱキタアキくんやん!キタアキくんとアイコさん&娘さん、のキタアキくん一家3人と出会ったのでした。神戸なんかたまーにしか来ないのに、よく会へたもんだ。さう言へば前回来た時は、アイコさんと会ったんだよねー、うーむ、縁があるのか。
キタアキくんは言はずと知れた日本のノーザンソウルシーンの立役者ですが、神戸をホームグラウンドに「ヌードレストラン」といふイベントをもうずーっと毎月やってて、しかも最近では毎回100人以上は集客してゐるといふ。なんか凄いなぁ。とにかくシックスティーズ好きには「ヌードレストラン」はマスト。踊れて、御機嫌で、ムチャ楽しい!と大評判ですので、興味のある方は是非。次回は6月28日ださうです。
あ、それとキタアキくん。ちょっと顔色が悪かったから、お酒は控へた方がいいんぢゃない。余計な御節介ですが。

ヲタク街

トモコが懇意にしてゐるアンティーク屋さんに行くといふので、私はレコード屋にでも行かうと思ひ、トモコと別れてひとり海側へ降りて行ったのですが、フッとタワーレコードの跡地は何になってゐるんだらうと思ひ、ちょい行ってみる事にしました。
三宮センター街の2階か3階。どっちか忘れたけどとりあへず行ってみると・・・なんと!そこは両階とも全てヲタク街になってゐたのです!
私は京都でアニメイトに入った時、あまりのアウェイ感に一発敗退して速攻で店を出た事がありました。故に、ここでリベンジかぁー!と咆哮し、果敢にも店内に足を踏み入れる事にしたのですが・・・。
・・・なんか、凄い、凄いわー、もう、なんかこれ・・・。私は最近、すっかりアニメファンになったのではないかと周りから非難囂々だったりする訳ですが、いや、そんな事は全然ない。私なんか全くフツーの人ですよ。ここに居るひとたち、この世界、これらとの隔絶感はハンパなく・・・イングリッシュマン・イン・ニューヨークどころぢゃない。もう「ワールズエンド」のサイモン・ペッグみたいな心境で、なんとしてでも全てのパブを廻るぞ!エイリアンなんかに負けるもんか!と、闘ひ、戦ひ、全ての店を駆け抜け・・・ヲタク街を抜けた所にあるベンチまで行ってそこに倒れ伏しました。
うう、頭が痛い・・・。
多分、30分くらゐ、そこに頭を抱へて座ってゐたでせうか。あれは封絶だったのだらうか。存在の力を吸ひ取られたのか・・・。

カリスマ

佐野眞一「完本 カリスマ」を読了。ダイエーと、その創業者である中内功(←“功”の旁はホントは“刀”ね)の一代記。やー、凄く面白かった。
私は1969年生まれの阪神間育ちなんで、はっきり言ってダイエーには悪印象しか持ってません。安いかもしれないけれど、碌なものが売ってない。以前に存在自体がダサ過ぎる。中内イサオのイメージも、最悪の独裁者。って感じで、ダイエーといふ企業自体が全体国家の様なイヤーな印象でした。
でもこの本を読むと、そんな印象はかなり変はります。なんと!中内イサオがマオイストだったなんて!
中内イサオは大東亜戦争時、食人疑惑のつきまとふフィリピン戦線に投入され、いや“棄民”され、猛烈な餓えの苦しみと、いつ味方の兵に殺されて食べられるか分からないといふ極度の恐怖と人間不信を経て、奇跡的に生還しました。故に彼には国家や大企業に対する不信と怒りが根底にあり、大手メーカーが価格を支配する構造に果敢に闘ひを挑み、価格決定権を消費者の手に取り戻す!といふ“流通革命”を目指します。一般庶民が安価で腹一杯食べられる世の中を目指した革命。だから、初期のダイエーは一般庶民の圧倒的な支持を得てゐた、と言ひます。
私が生まれた年に発売された中内の著書「わが安売り哲学」を読み、震へる様な感動に襲はれてダイエーに入社した左翼学生がたくさん居た、といふ事実も興味深い。
むろん、その後に実際に社会が豊かになるにつれて、ダイエーと世間とのズレは広がり、中内イサオの持ってゐた人間不信と強烈な自我が裏目裏目に出て、遂にはダイエーは国家による解体。中内イサオ自身も身ぐるみ剥がれて零落し、死んでしまふ・・・。
私は中内イサオが社長を退く時のインタビューで、これまでの人生の思ひ出を問はれた時に「これまでの人生で楽しいことは何もありませんでした」と答へた、といふ逸話に戦慄しました。うーむ。

ダイエーを最終的に潰したのは、小泉構造改革だった訳ですが、その小泉構造改革も無惨に失敗に終はり、いまはアベノミクスになってゐるとはいへ、基本はずっとネオリベ政策な訳です。ネオリベ、やっぱこれこそ我々の闘ふべき敵だよ。効率やコスト重視で、文化的なものや精神的なものの敵、ネオリベ。今の日本は長期の不況で、どうしたって世の中が苦しいから、ついネオリベ的なものに流れてしまふ。しかし、人生の豊かさとか何なのか。それを真剣に考へる所から、ネオリベに対する抵抗は始まる。

うーん、とりあへずコーヒーでも飲まう。

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