京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal：Home

まぁ、彼女ならまだ生きてるし、日本にも帰ってきてますから（捕まってますが）、みんなも分かるでせう。・・・・・・え？分からない？知らない？
うっそー！なんで重信房子を知らないんだぁー！！
・・・といった事も最近増えてきて、非常に虚しいです。

重信房子は、元日本赤軍の最高責任者であり、中東でパレスチナ解放闘争に従事し、アラブ世界では英雄とされてゐる人です。が、パレスチナと敵対するイスラエル、及びそれを支援するアメリカ、及びアメリカの属国たる日本においては、忌まはしいテロリストとされてゐます。つーか、東西冷戦時の西側諸国においては、まぁ、テロリスト扱ひでせうね。

しかしこの「テロリスト」といふレッテル貼りにも、うんざりですね。要するに闘いにおいて、自分は正しく、相手は正義に悖ってゐる、と規定するための情報操作ですから。確かに、ほんとに極悪非道なテロリスト、みたいな人や集団は居るでせう。でも、日本赤軍は違ふんぢゃないか・・・などと書くと、ぢゃあ「テルアビブ空港乱射事件」はどうなんねん？といふ事になるでせう。まぁ、ね。あの事件が巷間言はれてゐる通りの無差別テロだとしたら、そら“極悪非道のテロリスト”ですよ。でもね、私はあの事件に関しては相当の情報操作が行はれてゐると思ひますね。

とにかく、政府及びマスコミは平気でウソをつく。露骨な情報操作を堂々と行って、またそれに国民がいとも簡単に騙される。・・・といふのをこの歳になるまでに何度も何度も見せられると、もう全く政府やマスコミは信用できません。最近では、小沢一郎潰しの一大キャンペーンとかね。情報操作はデフォなんだなー、と諦念。まぁ、権力者といふものは、自らの権力を維持するためには情報操作をする、と言はれればその通りだらうし、それは仕方のない事かもしれません。こちらはそれに騙されぬ様、真実を見極める様、努力するしかないんでせうねー。

といった訳で「アラブの春」です。ジャスミン革命から始まった中東における大衆蜂起。これが世界にも飛び火して、それがニューヨークに始まる「オキュパイ・ムーブメント」になったのだとしたら、これはもう非常に大事なムーブメントです。これからの世界を変へるかもしれない。日本における反原発デモに代表される動きにも、暗々裏に影響を与へてゐると思はれます。
だから、私は「アラブの春」の動きには、密かに注目してゐました。・・・が、ニュースを見ててもどーもよく分からない。チュニジアのベン・アリー、エジプトのムバラク、が倒された辺りまでは分かりましたが、リビアのカダフィーが倒され、殺された辺りから分からなくなった。そしてシリアの内戦に至る・・・どーも怪しい。これは情報操作が行はれてゐるな、と警戒してをりました。だってアメリカの手先であるムバラクと、アメリカにとって脅威であるカダフィーとでは、全然立場が違ひますから。国のあり方も全く違ふ。同じ様に、中東の独裁者が民主化革命によって倒された、といふストーリーでは、なんか納得いかない。どうなってるのか、誰か教へてくれないかなぁ・・・と、結局は無精な私は自分で調べる事もなく、日々の生活に流されながら、それでもそんな事を密かに思ひ続けてゐたのですが・・・。

出ました。重信房子の娘である重信メイ著「『アラブの春』の正体」。重信メイはレバノン生まれのアラブ世界育ち。そして重信房子の娘ですから、何か日本のメディアでは流れない、分からない“アラブの春”の真実が分かるかもしれない。さう思ひ、軽い気持ちで読んだのですが、これが、いい。
明快で公正。確かに、彼女はアラブの民衆側に軸足を置いてゐますし、反イスラエルの立場です。が、その立場を鮮明にしつつ、できるだけ公正であらうとしてゐます。別に彼女の言ってる事がなんでも正しいといふ訳ではないでせうが、かういふ文章は読んでゐて気持ちいいですね。私も、アラブの春に関する様々な疑問が色々と解けて、非常に勉強になりました。
まぁ、角川の新書だから、値段も安く、薄い。つまり、簡単に読めて、益する所は大。なので、これはみんなにオススメだー！と思ひ、若い子たちに「アラブの春について知るなら、これがいいよ」と薦めまくったのですが・・・。
「あー、アラブの春って何でしたっけ？」と言はれる事が多々あり、愕然。

む、虚しいです。