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2011年10月29日(Sat)

ヨコトリ2011 アート

先日、唐突に「ヨコハマトリエンナーレ2011」=通称ヨコトリに行って参りました。
今回で4度目となるヨコトリ。今回は横浜美術館と日本郵船海岸通倉庫をメイン会場とし、あと関連イベントを数カ所でチョコチョコッと、といった感じでやってたみたいですが、私とトモコは時間の関係もあり、メイン会場だけを廻ったといふ次第です。

まづは横浜美術館へ。ウーゴ・ロンディノーネの不気味可愛い作品に迎へられて館内に足を踏み入れると、両端に階段があって真ん中がバーッと開けた空間。その真ん中の空間にイン・シウジェンの巨大な、同心円状にグルグルと巻いたカラフルな作品が展示され、その奥にオノ・ヨーコの「テレフォン・イン・メイズ」といふ透明な電話ボックスの様な作品が見えてゐる、といった感じ。最初から、オッと思はせる構成です。
ところでこのオノ・ヨーコの作品。話題になってゐたので来る前からなんとな〜く知ってゐたのですが、要するにこの電話に、定期的にオノ・ヨーコ本人から電話が掛ってくるのです!で、その時に近くに居た人はその電話に出てオノ・ヨーコと喋らなくてはならない・・・といふ、らしといへばらしいけれど、それどうなん?と思ってゐたのも正直なところでした。
が、実際にその作品に触れてみると、これがなかなかいい。メイズといふだけあって、このテレフォンボックス、透明な迷路になってるんですね。で、中に入って迷路の中でアタフタしてゐると、ああ!いま電話が掛ってきたらどないしょ!とドキドキ感が高まるといふ次第。
そして、いざどうって事ない電話機の前に立った時の、一抹の期待と恐怖、気恥ずかしさ。それら全てを大勢の人々に見られてゐるといふなんとも名状しがたい感覚。なかなかに、楽しい。
残念ながら、我々が居た時にはオノ・ヨーコからの電話はなかったですが(その30分前に掛ってきたらしい)、やはり掛ってくると、館内は騒然とするさうです。そらさうだ!

個人的に期待もし、またそれを満たしてくれたものとしては、ダミアン・ハーストやマイク・ケリーなどの、サブカルとの関係も強いアーティストの作品。ダミアン・ハーストのは、蝶を一面に貼ってステンドグラスの様にしたもの。残酷で美しい、といふ、ダミアン・ハースト印の作品で、離れてみると、ほんと美しい。確かハーストには、糊を一面に塗ったキャンバスに、何千もの蛹を貼付け、それが孵化して出て来た蝶がそのままキャンバスに貼り付く、といふインスタレーション作品があったはず。あれを、想ひ出させました。
マイク・ケリーのは、実は最初私は他の人の作品と間違へてゐて、お!これいいやん!知らん人やん、名前チェックチェック!とか思ってゐたら、後からパンフレット確認するとマイク・ケリーの作品だった、といった次第で。
スーパーマンの故郷の都市、カンドールの(想像)模型で、言はれてみれば、あまりにマイク・ケリーっぽい作品ではありました。はは。

私が今回初めて知った名前の中では、孫遜(スン・シュン)といふ中国人の方の作品が良かったです。アニメーション作品なのですが、初期・稲垣足穂を連想させるノスタルジーと憧憬に満ちた雰囲気の中に、不安と緊張の糸が張り巡らされ、頑強な批判精神も読み取れる、といった独特の世界が展開されてゐます。思はず、トモコと共に見惚れてしまひました。
あと、デワール&ジッケル(フランス)、ハン・スンピル(韓国)、金 理有(大阪)あたりが、今回チェックした名前です。

所変はって、日本郵船海岸通倉庫。ここでは、なんと言っても本トリエンナーレの最大の目玉、クリスチャン・マークレーの「The Clock」です!やー、これは素晴らしかった。
これがどんな作品であるかを説明いたしますと、古今東西様々な映画から、時計の映ってゐるシーンや時間が口に出されるシーンを抜き出し、それらを繋げて、上映してゐる正にその時刻と(大体)同期する様に作られた、24時間のフィルム作品、といふ事になります。次々と現れる、無関係で時代も場所も色もフィルムの質感も音もバラバラな映像群が、不思議と繋がっていく様は、混沌として無秩序なこの世界に、筋道らしきものをつけてしまふ“時計”といふ機械・概念の不思議さを露にし、時間といふものに対する深い思索と感慨に我々を導きます。・・・・・・などと改まった事をいふまでもなく、あ、あの映画!こんな映画も!・・・と、これなんの映画だったか?・・・わ!トム・クルーズ若過ぎ!!など、楽しんでるうちにアッといふ間に1時間や2時間は経ってしまふ恐ろしい作品。正に、時間を意識し続けながら時間を忘れてしまふ、至福の体験でした。

全体としてみれば、コンパクトにまとまり、玉石混淆ながら、なかなか良かったのではないでせうか。といふか、平日なのに、結構沢山の人が集まってゐたのにビックリ。人気あるのかな。
さういへば神戸の方でも今、芸術祭をやってるみたいですが、あれはどうなんでせうか。気になります。(行く時間ないけどねー)

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