京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > 元店主の日記 >

サブメニュー

検索


月別の過去記事


2011年09月20日(Tue)

海老蔵復活 歌舞伎

先日、9月13日に、大阪は松竹座に「九月大歌舞伎」昼の部を観に行って参りましたー。なんと言っても、今回の目玉は海老蔵復活!・・・って、すでに7月に舞台に戻ってきてゐるのですが、東京ですからね。死ぬ程観に行きたかったが、行けないって!
東京の人たちの話をきくと、復活後の海老蔵は素晴らしいらしく、絶品!との評判だったので、もう観られないのが悔しくて悔しくて。
だから今回の大阪公演が私にとって、海老蔵復活です。長かったといふべきか、意外とすぐだったといふべきか。

まぁ、私の様に関西に住み、さう簡単に東京には行けない者にとっては、別にそれほど長くはなかった。普段だって、ほとんど観られない訳だから。でも、歌舞伎界にとってはちょい長かったかもしれませんねー。
まづ、歌舞伎座がなくなって(改装中)、なんとなく求心力が低下したところに、海老蔵の休演。時を同じくして勘三郎も病気休演。そして何故か玉三郎が新橋演舞場(歌舞伎座の代はりの舞台)に出ず、個人公演で日本中をぐるぐる廻ってたりするもんだから、そーとー歌舞伎界的にはキツかったと思ひます。
そもそもあんなしょーもない事件で舞台休演といふ事自体が、理不尽な茶番だった訳ですが、まぁ、謹慎にかこつけて海老蔵を少し休ませてあげたのかな、と私は好意的に解釈してをりました。でもね、そろそろ、働け!働け!といふ訳でせう。ファンにとっては嬉しいかぎりですが。

で、今回。まづは「若き日の信長」で海老蔵登場です。これは大佛次郎が十一代目團十郎(今の海老蔵の祖父)のために書き下ろした新作歌舞伎。むろん、海老蔵は信長を演じます。
海老蔵は、弊衣蓬髪の姿で子供たちを引き連れ、花道から登場。お・・・意外に簡単に出て来たな、といった印象。父の法事をサボって子供たちと遊び、それを見つけて注意する大人たちとのやりとり。無作法で傲慢で苛立ち気味の信長。これがまた、海老蔵特有のイタい部分(←アンチの人たちから嫌はれるところ)と、全身から滲み出る天性のオーラと相俟って、絶妙なグルーブを醸し出してゐます。これは、いい時の窪塚くん(卍ライン)とかKダブシャインに通じるもので、私が天才の証と考へてゐるものです。
相変はらず、いいな、海老蔵。と、ニヤニヤしながら観てしまひました。

第二幕は、信長のお守役の平手中務が、信長の心中を理解する事ができず、信長の行状の責任をとり、且つ信長への諌めも込めて、切腹するシーンです。それを知った信長は、嘆き、怒り、悔悟の涙にくれながら咆哮します。これを海老蔵は大熱演!
海老蔵は、これまでこんな大熱演シーンでは、しばしば空回りする事があったのですが、今回はバッチリ。集中力が半端なく、舞台の中心に磁場の様なものを現出させて、否応なく劇場の空気を引きずり込んでをりました。

この芝居、戦後の新作歌舞伎の中でも代表的な傑作(by渡辺保)といふ評もある様ですが、私としては、芝居そのものはそんなに面白いものとは思へません。演出も、なんかダサいし。が、今回は海老蔵の魅力で非常に面白く観る事ができました。わー、こんなつまらん話がこんなに面白いなんてー、と海老蔵の力量を堪能した次第です。
海老蔵の復活、私的にはまづまづ満足の出来る出来栄へです。

しかし、問題はこの次の芝居、「河内山」です。そして問題となるのは・・・海老蔵ではなく、團十郎。いや、これ、えええ!とビックリしたのですが、團十郎がもうボロボロなのです。とても、まともな芝居とはいへない。なんといふか、あからさまに調子悪い、といった感じで、動きもぎこちないし、台詞もたどたどしく、なんとか口の端にのせてゐるといった感じ。
やー、團十郎、やばいんぢゃない?明らかに、調子悪いでせう。
案外、今回の海老蔵の事件、お父さんの方に負担が大きかったのかもしれません。ストレスは最大のガンのリスクファクターだし・・・(團十郎は2回も白血病をやってますから)。心配です。

次は夜の部を観に行く予定なのですが、夜の部は「勧進帳」。海老蔵の弁慶で、猛烈に楽しみなのですが、富樫役は團十郎。あんな調子で出来るのだらうか、とちょっと心配。
期待と不安を胸に、来週を待ちます。

Comments

投稿者 @わ : 2011年09月20日 22:40

ラジオで演目と解説を聞いていたら、
悪太郎というのが、大酒飲みの困った奴
ということで、
何か楽しそうだなと思いました。

いや、それだけなんですけど。

投稿者 元店主 : 2011年09月21日 01:05

さうなんです。実はこの日記では敢て触れませんでしたが、昼の部はこの二つの芝居以外に「悪太郎」といふ奴もあったのです。市川右近が、大酒飲みの困った奴を演じる、といふ芝居。なぜ、日記で触れなかったかといふと・・・、正直、私にはつまらんかったからです!

まぁ、私の隣の席のヲバサンたちは結構うけてましたけどね。う〜む。

投稿者 @わ : 2011年09月21日 20:59

そうなんですか。
てっきり海老蔵が悪太郎を演じるのかと。
何だか残念ですね。

コメントしてください





※迷惑コメント防止のため、日本語全角の句読点(、。)、ひらがなを加えてください。お手数をおかけします。


※投稿ボタンの二度押しにご注意ください(少し、時間がかかります)。



ページトップ