京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > 元店主の日記 >

サブメニュー

検索


月別の過去記事


2011年09月09日(Fri)

ハンナ 映画

MOVIXにて「ハンナ」ジョー・ライト監督を観ました。
これは赤ん坊の時から、フィンランドの森の奥で、殺人兵器となるべく育てられた16歳の少女ハンナの物語です。・・・と、この設定だけ聞けば、「キック・アス」のヒットガールと同じです。まぁ、あっちはさらに幼くて12歳、育ったのはアメリカ、演じるはクロエ・グレース・モレッツといふ違ひはありますが。こちら、ハンナを演じるのは「つぐない」「ラブリー・ボーン」のシアーシャ・ローナン。16歳の美少女殺人マシーンといふ言葉から連想される魅力を200%溢れさせた、素晴らしいクールビューティー振りを発揮してゐます。私は完全にノックアウトされてしまひました!

とりあへず、お話(ストーリー)はどうでもいいです。とにかくシアーシャ・ローナンが素晴らしいし、舞台もフィンランド、モロッコ、ベルリン、と、どれもフォトジェニックで眼福。さらに音楽がケミカル・ブラザーズで・・・って、別に私、ケミカル・ブラザーズは好きでも嫌いでもないですが、この映画に限って言へば、良いです。ちょいとイナタいエレクトリック・ビーツを背景に、ハンナが走る走る!・・・といへば、なんだか「ラン・ローラ・ラン」みたいですが、CIAの基地からハンナが脱出するシーンなんか、バッチリあってゐます。
音楽に関していへば、途中でロマの人たちが出て来て、歌ひ踊るのですが、これがまた素晴らしい。はっきり言って、舞台がよくて、音楽がよくて、女の子が良かったら、それで映画はほぼオッケーでせう。ストーリーは、それの邪魔さへしなかったらいい。

・・・と、ここまで書いてきて思ったのですが、これはどうも「ハンナ」のストーリーはよっぽど下らないらしい、といふ誤解を与へかねない。いや、そんな事はないのですよ。最初、ハンナは何者なのか、何が目的なのか、何がしたいのか、等が全く謎。それがストーリーが展開するにつれて徐々に明らかになっていく・・・といふ話の運びはいいと思ふんです。楽しんで、引き込まれて、観られる。ただねぇ、問題は、この肝心の“謎”が最後になっても明かされないんですよ!
といへば、「え?明かされたぢゃない。ハンナの出生の秘密でせう?」と反問する方も居られませう。いやー、ね、ハンナの出生の秘密なんて、どうでもいいんですよ。最強の兵士となるべく遺伝子操作されてゐた、すでに握りつぶされ抹消されたそんなCIAの秘密プロジェクトの犠牲者だった・・・といふ訳でせう。え?ネタバレだって?・・・う〜ん、こんなのネタバレにならないでせう(←暴論)。だって、今時、こんな話をきかされたって「ふ〜ん。それで?」てなもんですよ、観客としては。
私が思ふに、この映画を最後まで引っ張っていく“謎”は、ハンナと、彼女を執拗に追ひかけるCIAのマリッサ、演じるはケイト・ブランシェットとの関係です。この二人の間にある特別な関係、それを随所で匂はせながら、映画は進んでいきます。
が、これが最後まで分からない。むろん、マリッサが“殺人マシーン製造プロジェクト”を仕切ってゐたのは示されます。しかし、これだけではマリッサのハンナに対する異常な執着心は説明されません。なにせ、他の関係者は容赦なく皆殺しなのに、ハンナだけは「絶対に殺すな」ですからね。
普通に考へたら、この二人は実の母娘だった、といふのが謎の答へでせう。実際、そんな事を匂はせる所は多々あります。が、どうもそれも違ふみたい。ハンナには実の母親が居ました(マリッサに殺された)。
そこで、私の考へた“謎”の答へは・・・、マリッサには生涯で唯一の恋人、あるひは愛した人が居て、それがハンナの父親である、といふ事です。「私は一生子供を持たない事に決めたのよ」と宣言するマリッサですから、自分の唯一愛した人の子供に、執着するのは当然かもしれません。多分、その愛した人はすでに死んでるんですよ。んで、さらにハンナに執着、と。
この映画、グリム童話をモチーフにしてゐるんですね。だから、マリッサは悪い魔女=継母の役回り。故に、私のこの推測、あながち間違ひではないと思ふのですが・・・。にしても、この私の推測を裏付ける様な事が、映画には一切示されないのです。せめて、マリッサが謎の男性の写真を持ってる、あるひは秘密プロジェクトの資料と共にそれを燃やすシーンとかがあれば・・・。

まぁ、もしかしたらそんなシーンがあったのに、編集の段階で間違ってカットしたのかもしれませんしね。あるひは私の意識がそのシーンの時だけ空白になってゐた、とか(最近、実際あるんですよね、そんなこと。ちょい恐ろしい・・・)

とりあへず、そんな事を含めて、ストーリーはどうでもいいです。そんな事はどうでもいいんだ!とばかり、クールに唐突に映画をぶち切るハンナの魅力に酔ひ痴れれば。謎の解決だなんてそんな“下品”なこと、クールビューティーなハンナには似合はないですしね。

シアーシャ・ローナン、要チェックです。

Comments

投稿者 テラリー : 2011年09月10日 18:54

謎です。
そもそもなぜ親父といっしょになったのか?
グリムのおっさんはだれなのか?等
わけがわからず、ストーリーは深く考えたらダメな気がします。

ロマのシーンと洗濯のシーンが最高でした。
イグジットスルーザギフトショップはがらがらだったのに、満席でした。

投稿者 元店主 : 2011年09月12日 00:20

うーむ、なんかテラリーのあげてゐる事はちっとも謎なんかぢゃないと思ふぞ。そもそもテラリーはこの映画のストーリーを理解してゐるのか?

むしろ、テラリーの場合はもうちっと深くストーリーを考へた方がいいと思ひます。

投稿者 テラリー : 2011年09月12日 18:12

脱力させてしまったようで申し訳ありません。
以下ネタバレになりますが何を考えてたもう少し詳しく書きます。

親父と一緒になった経緯はわかるんですが、なぜ親父が育てようと思ったのかがわからなかったんです。
母親と恋仲だったにしては写真等で回想してるようなシーンもなかったように思いますし。思いが表せらるシーンに気づくことができませんでした。
切り捨てられた自身の復讐のために利用したにしては、最期のシーンが矛盾するように思います。
どちらの背景で育てたのかによって、ハンナの哀しみの質が変わる気がするんです。

復讐のために育てて、その間に愛情がわいてきたのか?というのもぼんやりしてる気がしまして。


投稿者 元店主 : 2011年09月13日 01:50

あのな、テラリー、親といふものは理由なんかなくとも子供を育てるものなんだよ!
まぁ、あの親父はハンナと血の繋がりはないと思ふが、立場的には一緒。超人プロジェクトが廃止になって、さぁ、関係者一同殺して全てなかった事にしませう、てな事になって、それが忍びなくてハンナ親子を救出して逃げた訳だらう?で、母親が殺された訳だらう。だったら、自分で育てるしかないやん。誰か(それこそグリムのオッサンとか)に預けたら、CIAにみつかって殺されるかもしれないし。むしろ育てない理由の方がない。育てないんだったら、最初から救出しなければいいんだから。

しかし、ここから先に「謎」はある。それは、なぜそこまでマリッサに執着するのか、といふ事。それと関連するが、なぜスパイエリート教育みたいなものをハンナに施したのか、といふ事。
だって、マリッサなんてほっといて、モロッコの片隅ででも生きていけばいいやん。それこそフィンランドとかでひっそり。それをせず、ハンナを殺人兵器に仕立て上げ、マリッサを殺しにいかせた。その理由は?

・・・ここからは、私の推測。それは、実は超人プロジェクトの真の黒幕はこの親父だった、といふもの。それをマリッサの方が、最初は協力してたのかもしれないけれど、途中で止めさせた。でもパラノイア的に自分の計画に執着する親父は、ハンナを意地でも立派な殺人マシーンに育て上げ、それをマリッサに見せつけてやりたかった、といふもの。

もしこの私の推測が正しいのなら、最後、マリッサと親父の対決シーンでそれを示す何かが必要なんだ。親父の狂った一面が見える、とか。それがないから、「謎」と云ふ。(でも、可能性としてはあり得る訳)

・・・と、まぁ、こんな風に考へてこそ『謎』は出て来る。テラリーはそこまでいってないと思ふぞ。もう少し、深くストーリー(あるひは映画の構造)を考へた方がいいと思ひます。

投稿者 テラリー : 2011年09月15日 23:30

マリッサによる過去の襲撃シーンまで、研究所のシーンはありませんでしたし、追われているところにしては母親が鼻歌を歌っていたりそんなに緊迫している様子も感じられなかったので、あの時点ではプロジェクトの終了は知らなかったのではないでしょうか。
なので、親父は任務の一環として行動していたのか、自らの意思で行動を共にしていたのかわかりません。任務の一環として行動していたとすればなぜ自ら育てることにしたのかがわからないと考えました。
血のつながりは関係なく、親とはそういうものという点は納得できますが、なぜ親になったのかが今一つわからなかったんです。

とはいえ、僕の思考はそこでストップしてしまい、ケンタロウさんがおっしゃる通り深く考えられておりません。
お恥ずかしい。反省いたします。そして考えます。

投稿者 元店主 : 2011年09月16日 02:14

う〜ん、さうかぁ・・・、はっきり言って、そらダメだわ、テラリー。

どう観たって、あのシーンは、組織を裏切った親父が、ハンナとその母親をつれて逃げてた所を、マリッサが襲撃したんだらうが。任務の一環として行動してゐたのなら、なんでマリッサが襲撃するんだよ。なんで親父は逃げるんだよ。
母親が鼻歌を歌ったりして緊迫感がなかった?・・・テラリーは親父の今にも死にさうな憂鬱な顔を観なかったのか?母親の一見無邪気で幸せさうな様子は、その後に予想される悲劇を引き立てるためのスパイスであって、あのシーンは緊迫感と不安感に満ちてゐたと思ふぞ。

わかった。わかったよ、テラリー。テラリーはまだ基本的な映画の見方が分かってないんだ。別にその事は(そこまで)恥ずかしい事ではないし、反省する必要もないが、まー、自分はまだ映画の見方が分かってないといふ事実をしっかり肝に銘じて、映画を観て下さい。

そしてたまには強制起訴シリーズなどにコメント等で参加して、参加料としてクリュッグとかゴッセを持ってきて下さい。

投稿者 テラリー : 2011年09月16日 12:06

今年はクリュッグを持参いたします!

投稿者 元店主 : 2011年09月17日 04:14

よし!

さすがだな、テラリー。文章の読み方はちゃんと分かってるやん(笑)。

コメントしてください





※迷惑コメント防止のため、日本語全角の句読点(、。)、ひらがなを加えてください。お手数をおかけします。


※投稿ボタンの二度押しにご注意ください(少し、時間がかかります)。



ページトップ