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2011年02月21日(Mon)

盟三五大切 歌舞伎

何度か明言してゐる様に、最近では歌舞伎より断然文楽の方に心を奪はれてゐる私ではあるのですが、それでも、まー、たまには歌舞伎でも観てみるか、安くチケットが手に入ったらねー。などとヘラヘラしてゐたら、うまい具合に安くチケットを手に入れる事が出来たので、二月大歌舞伎@松竹座に行って参りました。

二月の松竹座は、仁左衛門祭りです。昼夜とも通し狂言で、昼が「彦山権現誓助剱」、いはゆる「毛谷村」。夜が「盟三五大切」で、どちらも面白さうなのですが、どちらか一本となればやっぱ「盟三五大切」だらうー!!!と、なるのは私の趣味。鶴屋南北大好きですから。加へて、これは松本俊夫が「修羅」として映画化した作品でもあります。(あ、さういへば、もうすぐ国立国際美術館で松本俊夫の初期作品、やるんだよなぁ。み、みたい・・・が、3月26、27日では観られない。週末やん!)

で、観ました「盟三五大切」。いやー、凄かったー。仁左衛門カッコ良過ぎ。そもそも、歌舞伎に於いて一番大切なのは、容姿の良さです。藝の力・・・・・・も、むろん大切なのですが、やはり容姿の方が大切。何故なら、歌舞伎でやる芝居の世界では、美男美女こそが偉い!といふ価値観が厳然とあるからです。どんなに悪人だらうが、卑劣漢であらうが、情けない奴であらうが、美男美女であればそれでオッケー!といふ所がありますので、主役を務める役者の容姿がイマイチだと、説得力がなくなるのです。藝の力でなんとかなる・・・程度なら良いのですが、それではどうにもならない場合が多々あります。故に、容姿の断然優れた役者は、それだけでまづ(芝居の)神に選ばれた人間なのです。(んなもんで、海老蔵は正に神に選ばれた歌舞伎界の救世主なんですよー)
仁左衛門も、まさしく選ばれた人間です。仁左衛門演じる薩摩源五兵衛(実は不破数右衛門!←忠臣蔵の人ね)は、芸者に騙されて復讐に走る殺人鬼です。周りの人々に多大の迷惑をかけながらも、自分の復讐心(メンツ潰された!といふやつ)を抑へる事ができず、何人もの人間をぶち殺し、問題の芸者もメッタ切り!赤ん坊だけは助けて下さい、といふ芸者の訴へを聞いて、「そんなに可愛いかぁ、不憫かぁ、・・・そんなら、自分で殺せ!」と言って、手に刀を持たせて、無理矢理赤ん坊に突き刺す!な、なんと残酷な。そのあんまりな仕打ちに、「いくら私が憎いからと言って、そこまでするとは、あなたは鬼です!」と絶叫する芸者に対し、「そうだぁ、オレは鬼だぁ!」と言って、彼女の首を切り落とし!、それを袂に入れて自分の家まで持って帰る、といふ・・・なんともムチャクチャな奴なんです。
これを仁左衛門が演るとね、まー、ぞくぞくするほどカッコ良くて、さもありなん、と納得してしまふのです。これが、なーんかイマイチな人が演じてたら、納得いかんでせう。ねぇ。

以上の事をきいて、なんか歌舞伎って碌でもないなー、と思ふ人も居るでせう。うん、でもさうなんですよ。歌舞伎って、碌でもないんですよ。酷い話が多い。が、それがまた歌舞伎の魅力なんでね。だから、今回の海老蔵騒動で、右翼を名乗る連中が松竹に押し掛けて「日本の伝統芸能である歌舞伎に泥を塗った!」と海老蔵を非難、とかいふニュースがありましたが、何を頓珍漢なこと言ってるんだ。きみら歌舞伎みたことないやらう、と、私は呆れてしまひました。

なんかまたしても世間(マスコミ)では海老蔵バッシングが復活してゐる様ですが、もうウンザリですね。そのお茶の間主婦的といふか、PTA的といふか、“茶の間の正義”の跋扈ぶりには辟易します。ほんと、世間って、つまらんよねー。こら、歌舞伎でも観てないとやってられませんわー。

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