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2009年05月05日(Tue)

グローバリゼーションと音楽文化 音楽, 読書・文学, Customers

「グローバリゼーションと音楽文化」木本玲一著(勁草書房)を読みました。
木本玲一?・・・これは、もしかして・・・01くんではないか!
やー、クラブ遊びを続けたり、DJをしたり、メイド喫茶に通ひつめたり、カフェ巡りや食べ歩きをしたり、バイクのクルージングを楽しんだり、様々な本、レコード、ゲームに耽溺したり、・・・、と、風流の限りを尽くしてばかりゐると思ってゐたら、こんな堅実な仕事もしてゐたとは。
副題が「日本のラップミュージック」とある様に、如何にして日本にラップミュージックが根付いていったか、を描いた本。01くんのフィールドワークがいかされた、とても興味深い本となってをりました。

ただしこの本、博士論文に加筆訂正して成ったもの、といふだけあって、非常にアカデミックな内容となってをります。要するに、堅実。つまりは、少々退屈な所もある、と。
私、学問のことはよく分からないのですが、これは多分、カルチュラル・スタディーズになるのかな?文化現象に対する説明は、緻密に論理的に堅実に行はれてゐて、故に私の様に無意識にその文化現象(この場合は日本のラップ)に浸かって居る者にとっては、「ほー、さうだったのかー」と目から鱗な事が何度もあり、とても有益でありました。が、大胆な意味付けや魅力的な仮説、過激な提言、なんかはなく、その点は物足りなかったかなー、といふのが正直な感想。でも、それがカルスタなんだよね。多分。
つまり、こんな私の感想は「ないものねだり」といふ事です。あくまでこの本の目指す所は、これからの日本のラップミュージックを巡る研究や考察に対する足場を提供する事、だと思はれるからです。
さういった意味では、この本は必ず押さへておくべき一冊でせう。

例へば、私が前から主張してゐる問題提起として、「現場」が「クラブ」ぢゃ仕様がない、といふものがあります。日本のヒップホップ界では、「現場」とは「クラブ」の事なんですよねー。むろん、アメリカでは、それは「ストリート」の事です。日本には「ストリート」がない。故に、向かうの「ストリート」にあたるものが「クラブ」になってしまってゐる。が、それでは仕様がないだらう、と私は思ふのです。それこそ、現在の日本のヒップホップ界の限界ではないか、と。
かういった問題を考へるにも、この本には、日本で「現場」が「クラブ」になっていった様子、またアメリカで「ストリート」が成立していった様子、などが描かれてゐて、非常に参考になる。とりあへず、一から問題を考へ直す事ができます。うーむ、有益だなー。

で、ここから先の事(意味付け・仮説の提起・我々のとるべき道の提示)は、それぞれが行ふ、といふ事で。
私は、また01くんがオパールに来た時にでも、話し合ひたいと思ひまーす。

Comments

投稿者 さえこ : 2009年05月18日 12:11

店主さまお久しぶりです。
おもしろそうな本ですね~!
ヒップホップはさっぱりですが、ストリートが成立していった様子なんて興味深いです。

本題から逸れますが、先日知人が開催したブラジル音楽のパーティでサンバ隊に囲まれるという体験をしました。
衝撃でした。

投稿者 01 : 2009年05月18日 12:28

ご無沙汰してます。
拙著を取り上げていただき、ありがとうございます。
博士論文がベースなので、ご指摘のように堅い感じで、そこらへんはもうちょいガンガン行ければなぁ、と個人的にも思ってます(笑)。カルチュラル・スタディーズというか、一応、枠組み的には「社会学」なつもりでやってきたので、キャッチ-さが薄いのは、そのへんも理由かもしれません・・・。またお話できることを楽しみにしてまーす!

投稿者 店主 : 2009年05月19日 03:29

さえこさん こんにちは

この本は、グローバル化する文化が、各地でローカル化していく様子を分析したものなので、ヒップホップに興味がなくても、面白いと思ひますよ。ヒップホップはひとつのサンプルです。ロックとかも同様。なので、興味があれば、ぜひ〜。
にしても、サンバ隊。恐るべし、ですね。


01くん 御無沙汰ー。
なんと、この様なアカデミックな仕事をまとめてゐたとは・・・・。驚きです。私には絶対に近づけない世界なので、尊敬してしまひます。
まぁ、個人的には「日本のヒップホップこんなんでいいんかい!」とか「あれとあれをなんとかしな、あかんのとちゃうか?」とか、さういふ下世話な話が01くんとしたいものです。
再生したオパールにも、是非御来店下さい。
お待ちしてをりまーす!

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