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2008年10月21日(Tue)

なんでシスコなん? 旅行

あ、日本に帰って参りました。
正確にいふと一昨日の真夜中に帰ってきたんですが、疲れがドッと出て、しばしダウン。でも、忘れないうちにもう少し、シスコの事を書いておきませう。

「そもそもなんでシスコなん?」

といふ質問を、出発前に何人かから受け取りました。

「いや、別に。なんとなく。」

といふのが、かういふ場合の私の公式回答な訳ですが、この「店主の日記」はスペシャルな場なので、もう少し詳しい回答を試みてみませう。

さて、みなさんは“オーガニック”に興味がありますか? 私は、結構あるんですよね。故に、シスコに行ったのです。・・・・・・などと言ふと、「えー!なんでオーガニックならシスコなのー?」といふ反応を、若干名の方からいただきました。うむ、アメリカといへば大型機械による農薬をバンバンと使った農業、といふイメージが未だ根強いんですね。しかし、それはシスコ、といふかバークレーなども含む北カリフォルニアに関しては全く違ひます。北カリフォルニアは、ドイツと並ぶオーガニック先進地なんですよー。

なんでなんだろか。多分それは、シュタイナーが関係してますね。ルドルフ・シュタイナー。日本では教育関係の思想家、といふ風に捉へられてゐる様ですが、私にとっては、マダム・ブラヴァッキー、グルジェフ、と並ぶ近代の3大オカルティストとしてのシュタイナーです。
シュタイナーはハンガリー出身、戦前のドイツで活躍した人です。もともとゲーテ専門の学者(?) だったんですが、後に自らのオカルト哲学を「人智学」としてまとめ、当時のヨーロッパに多大な影響を及ぼしました。
オカルト・・・などといふと、なんだか胡散臭い様ですが、必ずしもそんな事はありません。要するに、この世の裏側に、外側に、上に、下に、右に、左に、・・・って別にどこでもいいのですが、まー、つまりはこの世を超えた世界が存在する! ババーン! といふ考へ方です。精神世界とか霊的世界とかですね。これに対して、世界は物質のみから出来てゐる、精神や心、魂なんて物質(である脳)の作用に過ぎない、といふのが唯物論。現在までのスタンダードな近代思想ですね。

別にどちらが正しいとか間違ってゐるとか、今は問ひません。要諦は、かういったオカルト哲学が近代思想・唯物論に対するアンチとして生まれた、といふ事。当時は人間機械論とか、唯物論の方も極端に走ってましたからねー。それに対するアンチの振り子も大きく振れた、といふ訳です。

そこでシュタイナー。シュタイナーは自らのオカルト哲学である人智学に基づいた様々な考へを発表・実践してゐた訳ですが(そのうちのひとつが、今も世界中にあるシュタイナー系の学校で行はれてゐる独特の教育方法です)、その中に農業理論も含まれてゐたのです。化学肥料や農薬を一切使はず、自然物のみを使用した「生物学的農法」。これが、現在の「オーガニック農法」の源流になったと言はれてゐるのです。だから、ドイツはオーガニック先進国なのかなー、と、私は勝手に推測してゐるんですけどね。

で、北カリフォルニア。北カリフォルニアといへば、何と言ってもカウンターカルチャーの発信地でした(ビートニクとかヒッピーとかね)。カウンター、って、一体何に対するカウンター(対抗)なのかといひますと、もちろん近代思想(文明)に対するカウンターです。故に、東洋の禅だとか道(タオ)だとか、(西洋)近代文明に対抗する様な思想を称揚した訳ですが、その中に、もちろん近代オカルト思想も入ってゐた訳です。
50〜60年代頃、さういったカウンターな思想に触れた人々の一部がシュタイナーの「生物学的農法」を取り入れ、定着させていった事が、現在の北カリフォルニアにおける“オーガニック”の隆盛に繋がってゐるんぢやないの?とは、これもまた私の勝手な推測。でも、さうだと思ふんだけどなー。

てな訳で、オーガニック先進地“北カリフォルニア”へ、行ってきたんですよー。

DSC00165.JPGパレス・オブ・ファインアーツ。いや、シュタイナーが作った人智学の殿堂“ゲーテアヌム”になんとなく似てゐると思って、載せてみました。現在工事中で中に入られず。残念!

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