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2007年09月20日(Thu)

デス・プルーフ 映画

 TOHOシネマズ二条に『デス・プルーフ in グラインドハウス(タランティーノ監督)を観にいきました。

 これはタランティーノが盟友ロドリゲスと組んで、現代に“グラインドハウス”(B級映画専門館)を蘇らさうとして作つたもの。それぞれ1本づつ“如何にもグラインドハウスな映画”を撮つて、アメリカでは2本立てとして公開した様ですが、日本では1本づつ単独での公開となつた模様。そのタランティーノ版が、この『デス・プルーフ』です。

 いや、ね、こんなの面白いに決まつてゐるから、正直言つて観に行く気がなかなか起こらなかつたんですよ。絶対に面白い、と分かつてゐるものなんか観に行く気がしますか? 私は、あんまり、なんですね。だけど、観ない訳にもいかない。で、もう明日で公開終了といふ、公開期間ギリギリに、しぶしぶ観に行つたといふ訳です。

 で、もちろん、悔しいけど、やられたー!!!!!!!!!

 こ、これは凄い。完璧だ。最初から最後まで、一分の隙もなく面白い。圧倒的な至福と静かなる感動。ダントツに今年のNo.1。のみならず、生涯のベスト作品のひとつであるのは間違ひないであらう。タランティーノの最高傑作。且つ、映画史に残る大傑作である。なんか観る前にゴチャゴチャ考へてゐた自分が愚かしい。正に、全面降伏だー!

 世の中にはたくさんの価値観があります。美意識も同じ。が、それぞれの美意識の中ではもちろん厳然としたヒエラルキーがあつて、それを完璧に極めてゐる人は非常に少ない。ほとんどの人が色々な美意識を適当に齧つただけで、“美”といふものを理解する事もなく、中途半端な感性の中に自足してゐます。ひとつの“美”を極め、それを体現、あるいは創造するのは、正しく芸術家にしかできない仕事。それも才能ある者が、果てなく厳しい努力の賜物として到達できる奇蹟の様なものです。さういつた意味で、この映画は完璧なアートフィルムといへるでせう。凡百の他の映画とは次元を異にしてゐます。

 単に70年代のB級映画を再現した、といふレベルに留まるものではありません。70年代といふ時代の持つてゐた、美、思想、真実、可能性などが、120%活かされてゐます。我々はこの映画からどれほど多くの事を学べるのか、と考へると、有り難さのあまり涙がこぼれさうです。

 とにかくねー、ロザリオ・ドーソンがトゥラ・サトゥーナの髪型で出てきた時は、もう「わー!」てな感じでしたよ。もしかして、これは…、と思つたら、案の定でせう。タランティーノ、あなたは最高です、と、ラストシーンでは私もシートの上で飛び跳ねました。!!!

デス・プルーフ in グラインドハウス
サントラ ジャック・ニッチェ スミス エンニオ・モリコーネ エリ・ロス マイケル・バコール T-レックス ローズ・マクガワン カート・ラッセル
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 いつもの事ですが、タランティーノの映画は音楽が素晴らしい。今回も完璧で、早速サントラを購入しました。特に良いのはデイヴ・ディー、ドジー、ビーキー、ミック & ティッチの『HOLD TIGHT』。この素敵な曲を聴きながら、いかした美少女たちが何も分からないままに虫けらの様に無惨・凄惨にその生を断たれる、といふ事ほど、“青春”といふものの本質を見事に描き切つたシーンがかつてあつたであらうか。なんて。アイアイアイアイヤー!

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