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2006年09月14日(Thu)

マイアミ・バイス 映画

 TOHOシネマ二条にて『マイアミ・バイス』を観る。マイケル・マン監督の新作。しかし、これが…個人的には全くダメであつた。

 まづ、話がつまらない。捻りがなさ過ぎる。次に、出て来る登場人物全てに魅力がない! コリン・ファレルはトランプの王様のコスプレをしたヒッピー崩れみたいだし、ジェイミー・フォックスはマッチョでワックな嫌み野郎、そしてヒロインのコン・リーは、ゴルフの個人指導を仕事とする生活疲れしたをばさん、みたいなのでした。

 とにかくねー、あ、ここからネタばれするので要注意、なんて事は別にどうでもいいんだけれど、ラストが酷い。覆面捜査官のコリン・ファレルは、なんと! 自らが捜査してゐる犯罪組織のナンバー2であるコン・リーと恋に落ちてしまふ。…ま、陳腐だがこれはいいとしよう。で、ラスト、とうとう自分の正体を明かし、組織を壊滅にと追ひ込むのだが、さて、ここでコン・リーに対してどうでるか、といふのがひとつの山場だらう。で、どう出たか。それがねー、逃がしてしまふんだよ、国境越えてコン・リーの祖国まで。おいおい、なんぢやそれは! お前らは“犯罪”について、どう考へてゐるんだ! 自分が好きになつた犯罪者なら、見逃していいのか。

 ここで昨日観た『グエムル』を思ひ出してみよう。『グエムル』にも、犯罪者が出てくる。それは両親も身よりもなく、兄と弟ふたりぽつちの幼い兄弟である。彼らはお腹を空かしてをり、売店に忍び込んで商品である食料品を盗みまくる。その時、たまたまお金を見つけた弟がそれも一緒に盗らうとすると、兄は猛烈に怒り、かういふのだ。「ダメだ! お金を盗るのは窃盗で悪いことだ! ボクらがやつてるのは窃盗ぢやない、“荒し”だ。“荒し”は、最下層の貧乏人に許された権利なんだ。それを混同したらダメだ!」……うーむ、感動! 犯罪といふものに対する、なんと鋭い洞察だらう。私はここで、マイアミ・バイスの制作者一同に言ひたい。『グエムル』の爪の垢を煎じて飲んで下さい。

 大体、『マイアミ・バイス』は、貧富の差、といふ事に対する感覚が鈍過ぎる。『マイアミ・バイス』に出てくる貧乏人と言へば、トレーラーに住んでゐて、ジェイミー・フォックスの恋人を誘拐する、ネオナチのデブ白人。とにかく酷く描かれてゐる。いや、まぁ、ね、確かに人種差別主義者のホワイトトラッシュなんて、最低な奴ですよ。でも、そいつらを金で雇つてゐる側の中枢にゐる人間が、頭が良くて、見栄えも良くて、洗練されてゐて、最後には国外に逃亡する、となれば、その対比がねェ。…ま、別にいいんだけど、ホントは。話さへ面白ければ。しかし、その話が面白くないもんだからブツブツと際限なくケチをつけてゐるといふ次第。

『グエムル』が如何に面白い映画であつたか、を痛烈に思ひ知らせてくれる映画でした。

公式サイト:
http://www.miami-vice.jp/

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