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2006年06月23日(Fri)

読み名の謎 雑誌, アート

 雑誌「ユリイカ」の藤田嗣治特集号で、小説家の津原泰水とかいふ人が、自分の父親は藤田嗣治の事を間違つて「フジタ ツグジ」と読んでゐた、と書いてゐるが、果たしてこれは本当に間違ひなのだらうか。といふのも、私も初めて藤田嗣治を知つた約20年前から、彼のことを「ツグジ」と読んできたし、私の周りもみんなさう読んでゐたからだ。「ツグハル」なんてルビを振るやうになつたのは最近の事ぢやないか? と、私は疑つてゐるのだ。

 といふのも、似たやうな事例がいくつかあるからで、例へば吉本隆明。これは断然、「ヨシモト リューメー」だらう。しかし、私が大学生ぐらゐの頃から、本の著者紹介欄に「ヨシモト タカアキ」とルビが振られるやうになつたのだ。なんで? と、私はズウッと疑問に思つてきたのだが、他にも呉智英(ゴチエイ→クレトモフサ)とか、安部公房(アベコーボー→アベキミフサ)とか。釈然としない。普通に考へれば「リューメー」は愛称(又はペンネーム)で、「タカアキ」が正式名称といふ事になるのだらうが、それなら知り合ひの人はともかく、表現者としてしか「吉本隆明」を知らない人は、「リューメー」と呼ぶのが正しいのではないのか。…ま、かういつた事が多々あるので、今回の藤田嗣治も、同じ類ではないか、と私は怪しんでゐるのである。

 で、先日、京都国立近代美術館に「藤田嗣治展」を観に行つたら、藤田嗣治が外務省に依頼されて作つた映画、といふのを上映してゐて、その映画にはちやんと「Directed by TSUGUJI FOUJITA」とクレジットされてゐたのである! ううむ、やはり、生前はみんな「ツグジ」と呼んでゐたんぢやないのか? なら何故、わざわざルビまで振つてこんな読み変へをするのか。謎である。もし事情を知つてゐる人がゐたら、是非教へて下さい。

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