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 Diary 2005年3月23日(Wed.)

カタ・ログ

 イチカワさん来店。髪の毛も逆立つてゐるし、いつもにも増してフラフラとしてゐる。カウンター席についた後、目の上に手を翳して、「眩しい…目が痛い…」と呟く。私は慌てて照明を落とした。カウンターの周りだけ異様に暗くなる。幽鬼、といふ言葉が私の頭の中に浮かんだ。

「お知らせ、遅くなつてしまつたんですけど、今、写真展をやつてゐるんですよ」

 え? さうなんですか。どこでです?

「ここなんですけど」と何枚か葉書を取りだし、渡してくれる。それを見ると、Prinzの1階ギャラリー(カフェ内)にて、2月22日〜3月28日までやつてゐる。

 毎日8時〜25時まで、無休。「カタ・ログ」市川靖写真展。

「もう当分(写真展は)やらないから、貴重ですよ。ベリー・レア」

 うーん、もちろん行きたいですけど、もう終はりぢやないですか。

「ごめんね」

 いや、いいんですけど…。で、これ、カタログとか作つたんですか?

「『カタ・ログ』のカタログ? いや、作つてない」

 えー! なんで作らないんですか。絶対作るべきですよ、「カタ・ログ」展なんだから。売れますよ。

「さうかな?」

 もちろんです! それから「カタ・ログ」Tシャツとか、「カタ・ログ」饅頭とか。何でもいいから作るべきですよ。少なくともカタログは作るべきでしたね。ミニカタログと豪華版と。私なら買ひます。

「…遅いよ、いまさら」

 そんなこと言はれても…。

 でもPrinzッて、行きにくいんですよね、ここから。

小川顕太郎 Original: 2005-Mar-27;