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 Diary 2005年1月8日(Sat.)

落とし物

 ウメドン来店。「昨日、オパールから帰る途中にカバンをとられたんです」と言ふ。それは! と色めき立つて話を聞いてみたのだが、どうもをかしい。ウメドンはクルマで帰つたのだが、途中でコンビニに寄つた時にカバンがない事に気がついたのださうだ。そこで「盗られた!」と騒いで警察まで呼んだものの、鍵はロックされたままだし、車内を物色された様子もない。ただカバンだけがなくなつてゐるのだ。これは、もともとカバンは車内に持ち込まなかつたんぢやないか? つまり、クルマに乗る前に、クルマの屋根かどこかにカバンを置き、そのまま発車してどこかに落としてきたのではないか? 警察にもさう言はれ、ウメドンはもと来た道を2往復して探したさうだが、結局見つからなかつたといふ。

「それ、絶対どこかに落として来てゐるわ。よくサラリーマンの人が、集金してきた何百万といふお金を入れたセカンドポーチを、クルマの上に乗せたまま発車してしまつて、落としたりしてゐるでせう」と、その話を聞いたワリイシさんは言ふ。え! そんな事があるんですか? 「うん、よくあるみたいよ」。私は動揺してしまつた。

 これでも私は落とし物を拾ふのは得意な方である。店からの帰り道など、ガックリと下を向いて歩いて帰ることが多い故か、よく100円玉を拾ふ。たまには1000円札を拾つたりもする。そんな時、もしかして自分には落とし物を拾ふ才能があるのではないか、などと思つたりする。が、そんな何百万も入つたセカンドポーチなど、拾つた事がない。よくある事ならば、拾つても良ささうなものだ。そのために私はありとあらゆる善行を積んでゐるのではないか。これではあまりに不公平である。私は人生の無情を感じた。

 ところでカバンの中に何が入つてゐたのかといふと、本や書類で、たまたま財布と携帯電話は外に出してゐたのでなくならなかつたさうだ。そこで私は、これからカバンには何も入れないこと、といふ適切なアドバイスをウメドンに与へた。これならまたカバンを落としても、大丈夫だ。

 それにしても、一度でいいからセカンドポーチを拾つてみたいものである。

小川顕太郎 Original: 2005-Jan-8;