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 Diary 2005年2月27日(Sun.)

THE JUON

公式サイト: http://www.thejuon.com/

 すつかり忘れられてゐるかもしれないが、私とヤマネくんは「敢へて怖い映画を観る会(通称あへこは)」を結成してゐる。前に活動したのが『仄暗い水の底から』を観た時だから、もう随分と活動をしてゐない事になる。こんな事ではいけない! と、今年は活動を再開する事にした。で、選ばれたのが『THE JUON』である。……

 観るの観ないのと散々揉めた後、18時半にMOVIXでヤマネくんと待ち合はせた。私が少し遅れていくと、死人のやうな顔をしたヤマネくんが立つてゐた。「掌に冷や汗が…」と呟くヤマネくん。チケットを買ひに行く。私が「当然最前列だよな!」と言へば、「えー、観にくいですよー」と、観る気もないくせにヤマネくんが言ふ。ぢや、勝手にしたら、と、私が最前列の真ん中のブロックの端の席を購入すると、ヤマネくんは「ええーい! ここ!!」と叫んで、最前列ど真ん中の席を購入した。むむむ、やるな。二人して無言で館内に入る。

 館内にはあまりお客さんはゐなかつた。その少数のお客さんも、みな後方の席に座つてゐる。我々二人は、ポツン、ポツンと離れて最前列に席を占めた。暗転し、予告編が始まる。まづ『妖怪大戦争(だつたかな?)』。いきなり河童が出てきて、ヤマネくんが小さな笑ひ声をあげた。うむ。次に『こつくりさん』。こ、こはい。すでに笑ひ声は凍つてゐる。そして、『姑獲鳥の夏』!!! …これですつかり脱力し、リラックスした気持ちで本編へと突入することができたのであつた。で、本編は…?

 酷い、酷すぎる! これは、ただ単に人を怖がらせるためだけの映画ぢやないかー! 『仄暗い水の底から』のやうに、怖いけれどもそこには何とも言へない人間の業が描かれてゐて感動したり、映画史的記憶に満ちてゐて官能を揺さぶられたり、などといふ事が一切ない。ただ単に怖いだけ! 確かに、『リング』や『回路』を思はせるところはあるのだけれど、それもホント、怖がらせるためだけにある、といふ感じだ。こんなもの、怖さに負けない強い精神があれば、批判されつくせるんぢやないか? …しかし、我々にはそんな強い精神はないので、メッチャ怖いのだー!!! やめんかいー! 無闇に人を怖がらせるのはー!! 大体、なんでこんな映画を観にきてゐるんだー!

「それは『あへこは』だからですよー!」

 さうかー! で、でも、こんな人間性の深さも業も、世界の真実も描かれてゐない、映像的官能も記憶も全て恐怖に奉仕してゐるかのやうな、即物的な映画、一体どんな人たちのために作つてゐるんだー!

「それは『あへこは』のためですよー!」

 さ、さうだつたのかー!!

 …我々は放心しながら映画館を出た。…明日の日記に続く!

小川顕太郎 Original: 2005-Mar-2;