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 Diary 2005年2月10日(Thu.)

日本史鑑定 天皇と日本文化

日本史鑑定 天皇と日本文化』明石散人×篠田正浩(徳間文庫)を読む。最近読んだ本の中では、抜群の面白さであつた。

 この対談の中で、明石散人は言ふ。天皇は唯一人の日本人であり、天皇と日本文化は同義である、と。そして天皇とは男系による万世一系といふ事だから、これが絶える事は、日本文化が絶えることを意味する。故に即刻皇室典範を改正し(元に戻し)、皇太子・秋篠宮に複数の妃を持たせて男系の皇統を守るべきである、と。ここまでは至極真ッ当。私も全く同意見である。が、明石散人の凄い所はここからの展開である。もし女帝が誕生するやうな事になれば、自分は熊沢天皇について徹底的に調べ直して、その真実を書く、と言つてゐるのだ! 熊沢天皇とは、我こそは南朝直系の天皇である、と戦後名乗り出て大騒ぎになつた人物である。むろん現皇室は北朝なので、もし熊沢天皇の主張が本当であればエラいことになるといふので大騒ぎになつたのであるが、結局現在ではあれは詐欺であつた、といふ事になつてゐる。が、明石散人は、熊沢天皇は本物ではなかつたか、と主張してゐるのだ。もしその事が証明できれば、熊沢天皇の子孫はまだ各地に住んでゐるはずなので、たとへ愛子内親王が女帝となり北朝の男系皇統が絶えたとしても、熊沢天皇系の方で男系が続いてゐれば、南朝の男系皇統が存続してゐる! といふ事になるのである。これは凄い。嘘みたいな話だが、万に一つの可能性がない訳ではない、とは言へさうではある。

 しかし、とはいへ、やはり皇室の将来はこのままではなかなか厳しい。明石散人も、このまま天皇制は、つまり日本文化は滅びてしまふのではないか、といふ危惧を何度も述べてゐる。私もそのことを思ふと、気持ちが暗くなるのを禁じ得ない。実際天皇制の衰弱に歩を合はせるやうに、現在の日本文化は腐りまくつてゐる。が、日本は神国である。神風が吹くのを信じるしかない。それまで、天皇の赤子たる我々にできることは何か。その事に関する様々な示唆を、この本から得ることが出来るだらう。

 とりあへず私は、『古事記』と『万葉集』を読み直してゐます。

小川顕太郎 Original: 2005-Feb-14;
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