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 Diary 2004・9月30日(Thu.)

再会

 私とトモコは某駅で、駅周辺地図を眺めてゐた。すると「オガワさん」といふ声がしたので、そちらの方を見ると、スーツを着たリスが立つてゐた。…いや、このリスといふのは我々がその昔つけた綽名で、本当は***くんといふ立派な人間である。リスとは久しぶりであつた。およそ 4 年ぶりくらゐだ。すつかりサラリーマン姿が板についてゐる。久闊を叙さうと早速夕飯に誘ふと、「いや、ボク、明日は朝が早いんで…」と尻込みするので、何をサラリーマンみたいな事を言つてゐるんだ! と、無理矢理連れていく事にした。

 実は私とトモコはこの近くにある某イタリア料理屋に行かうとしてゐたのだ。で、「リス、この店知らないか?」と店名と住所を見せると、「あ、もしかして、これ、うちの会社の向かひの店では…」と不安さうな顔をするので、よし! そつちに行かう、とリスの会社に向かうと、果たしてさうであつた。リスの会社を眺めた後、3 人で店に入る。

 リスはチットモ変はつてゐなかつた。サラリーマン姿のリスを見るのは初めてのはずなのだが、昔からこの格好でゐたやうな気さへしてくる。それほど、リスはリスであつた。リスに言はせても、「トモコさんはチットモ変はりませんねー」といふ事になるらしい。では、私は?

「うーん、格好がねェ。…なんか、凄い B でせう。トモコさん、一体誰と一緒にゐるんや、と、一瞬ビビりましたよ」

 なるほど。

 久しぶりで会つたせゐか、我々は幾らでも喋ることがあつた。ビーフ流行りの日本のラップシーンについて、リスの知り合ひが出した音楽書籍について、リスのバンド活動について、チカーノについて、ジャズについて。ほとんどが下らない事、といふか音楽の話なのだが、やたら熱心に喋つてしまい、コース料理を平らげ、ワインを 2 本も飲んだのに、全くその事を覚えてゐない。閉店時間を大幅に過ぎてもまだ喋つてゐて、店の人に追ひ出されるといふ、飲食業に携はる者にあるまじき失態まで犯してしまつた。うーむ、反省。実は、最近やたら色んな人たちと再会するのである。これには、何か意味があるのだらうか。

 K DUB SHINE のライブがあつたら一緒に行かう、と約束して、リスと別れた。

小川顕太郎 Original: 2004-Oct-2;