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 Diary 2004・9月1日(Wed.)

釣りバカ日誌 15

 本日は映画の日。現在観たい映画のトップは『誰も知らない』と『華氏 911』なのだけれど、両者とも大人気でとても観られさうにない。実際、MOVIX は大盛況で、チケットを購入するのにかなり並ばなければならない始末。ほとんどの映画が×(売り切れ)か△(残数僅か)である。そこで、私は唯一の◎(空席十分)映画を観ることにした。それは『釣りバカ日誌 15』だ!

 もちろん、空いてゐる、といふ理由だけでこの映画を選んだ訳ではない。私はこのシリーズを観るのは初めてなのだが、以前からババさんやヤマネくんから「最近の『釣りバカ』は面白いですよ」と聞いてをり気になつてゐた事と、先日ヤマネくんが「今回の『釣りバカ』はシリーズ最高作です! ボクは『華氏 911』よりよつぽど面白かつたです!!」と言つてゐた事を、心に牢記してゐたからである。

 では、私を含めて 5 組ほどしか観客のゐない寒々とした劇場で観た『釣りバカ日誌 15』はどうであつたのか? これが、なかなか素晴らしかつたのである。この映画は基本的に喜劇である。だから、随所に笑ひのシーンがあるのだが、これがヌルくて、とても声を出して笑へたものではない。が、そのヌルさ加減が絶妙で、ズーッと浸かつてゐるとジンジンと身体が温まつてくるぬるま湯のやうにイー気持ちになり、映画を見終はる頃には思はず歌ひ出したくなつてゐた。西田敏行、三國連太郎、江角マキコ、筧利夫と、出演陣もみな素晴らしい。特に江角マキコが良くて、こんな難しい役(映画を観れば分かります)をよくこなしたと、感心してしまつた。

 また、ヤマネくんが言つた「『華氏 911』より面白かつた」といふ言葉の意味もよく分かつた。この映画は、一面でアンチ・グローバリズム映画でもあるのである。近代的合理経営・普遍的近代都市・個人主義、などのグローバリズムが押し進める価値に対して、日本的家族経営・民族的田舎・家族共同体的なるもの、を擁護する。その闘ひに、小津安二郎を援用しまくつてゐるのがまた良かつたのだ。さうか、これは松竹映画なんだ、松竹大船調こそ、日本がグローバリズム(ブッシュイズム)に対抗するための橋頭堡なのかもしれない、と私はひとりごちたのでした。

 とにかく、全日本人に観てほしいオススメ作。空いてゐて、観やすいですよ。是非!

小川顕太郎 Original: 2004-Sep-3;