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 Diary 2004・10月25日(Mon.)

差別

 雑誌「TITLe」11 月号を読んでゐると、内田裕也とモブ・ノリオの対談が載つてゐて、興味深いことを内田裕也が言つてゐた。内田裕也がニューヨークでオノ・ヨーコに会つた時、オノ・ヨーコが「和」を強調したやうな服を着てゐたので、内田裕也が「ダッセー」と思つてさう言ふと、「あなたには分かんないでせう! 私たちはね、メキシカンの下ぐらゐに思はれてんのよ! レストランに行つてご覧なさい!」とオノ・ヨーコに怒られたさうだ。その後、レストランに行くと、確かにマイノリティはトイレの側や入り口の付近など、悪い席に連れていかれる事を確認した内田裕也は、オノ・ヨーコの言ふことに納得したといふ。

 アメリカにおいてマイノリティは差別されるが故、自らのエスニシティを誇示する事が多い。黒人もさうだしチカーノ(メキシコ系移民)もさうだ。日本人がさらにその下に見られてゐるのなら、当然、「和」を強調する事になるだらう。が、日本に籠もつてゐればその事は見えにくいし、かへつてダサい事のやうに思へてしまう。ナショナリズムといふのは、他国と対峙しなければなかなか生まれないものなのだ。着物を捨てて洋服を着てゐる時点で、西洋人はそんな日本人を自分達より下の人種とみなしてゐる事に気がつかなければならない。オノ・ヨーコは日本では上流階級であつたし、あのジョン・レノンのお嫁さんであつたが故、かなり屈辱的な目にあつてゐると想像できる。私はジョン・レノンが、英米のマスコミに対して、自分の妻(オノ・ヨーコ)の事をブスだとか悪女だとか書くのは失礼だ! と怒つてゐた映像をよく覚えてゐる。彼ら西洋人にしてみたら、自分達の文化のチャンピオンであるジョン・レノンが、日本人などといふ「下等人種」の女性にいれこんでゐるのが癪に障つて仕方がなかつたのだらう。オノ・ヨーコの闘ひぶりが垣間見える、興味深い話であつた。

 本日は激烈に暇であつたが、世間では何かあつたのでせうか。昨日との差が激しすぎて、もう、訳が分かりません。

小川顕太郎 Original: 2004-Jan-27;