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 Diary 2004・10月18日(Mon.)

メディア・ハイジャック

 POWER くん来店。メディアの事についてアレコレ喋る。昨日ババさんとも喋つた事なのだが、やはりテレビが全ての元凶なのではないか、と。実際の洗脳においても使はれる事から分かるやうに、テレビとは一種の洗脳装置である。これは人間の生理の問題なのだが、映像には人の思考を停止させる力があつて、そこに情報を伝達すると、それは強烈に脳に刷り込まれるのだ。とはいへ、もちろん強制的にテレビを見せ続ける事は基本的に出来ないので、テレビ=洗脳装置、と言ひ切つてしまふのは言ひ過ぎなのだが(実際の洗脳においては、強制的・連続的に映像を見せ続ける)、それでもあまりに現代のテレビは巨大になり過ぎて、ほとんどの人々にとつて空気のやうなものになつてゐる現状をみると、やはり薄く・軽い洗脳状態に大抵の人々は置かれてゐる、と言つても良いと思はれる。テレビで流される激しく偏つた情報を普通だと思ひ、テレビで流されない事はこの世に「ない」と思ひがちなのだ。が、ギル・スコット・ヘロンが「テレビでは革命は放送されない」と詠つたやうに、本当に重要なことは、まづテレビでは放送されない。だから、意識的に他のメディアに触れたり、メディアそのものを疑つてかかつたりする事が、必要なのだ。

 で、他のメディアだが、新聞は大抵テレビと通底してゐるのであまり意味がないとして、雑誌、本、映画、音楽、インターネット、信頼できる年長者、などがあるだらう。映画に関しては、最近では『華氏 911』の成功があるが、実はあそこで描かれてゐた「ブッシュの隠された恐るべき真実」など、本を読む人たちの間ではほぼ常識に属する事ばかりである。それでも、普段テレビ(か新聞)しか見ないやうな人々にとつては衝撃であつたやうで、かなり話題となつた。これは、映画のメディアとしての側面にスポットライトがあたつた例と言へるだらう。

 次に音楽だが、これはヒップホップが一番良い例だ。昔パブリック・エナミーは、ヒップホップの事を「メディア・ハイジャック」と呼んだ。これはつまり、黒人の意見や感じ方、美意識などは、白人が主導してゐるアメリカの主流メディアでは決して流れない。黒人に関する一方的な偏見に満ちた情報のみが、流される。これに対抗して、ラップは自分達の意見・思つた事、言ひたい事を表明し、伝へる事ができるメディアなのだ、といふ考へ方である。白人たちに独占されてゐるメディアを乗ッ取る! といふ事で、メディア・ハイジャック、なのだ。最近ではあまり言はれなくなつたが、ヒップホップが「言葉が汚い」「内容が酷い」と非難されるたびに、私はこの「メディア・ハイジャック」といふ事を思ひ浮かべる。

 私はなんとか、この「メディア・ハイジャック」が出来ないものかと考へてゐる訳だが、時間も尽きた事だし、続きは明日

小川顕太郎 Original: 2004-Jan-20;