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 Diary 2004・11月18日(Thu.)

高山典子展

 11月15日から20日まで、大阪の天野画廊にてテンコさんの個展をやつてゐるので、それに足を運ぶ。場所が少し分かりにくく、雨の中をしばし彷徨ひ歩いたのだが、無事に発見。ビルの1階ときいてゐたけれど、道路に面してゐる訳ではなく、古びたビルの奥にある一室、そこが天野画廊であつた。思つたより狭い場所で少々ビックリ。が、かういふのも面白いかも、と思ふ。ここいら辺いつたいは、画廊や古美術店が多く、要するにさういふ場所なのだ。

 中にはテンコさんがゐて、お客さんもひとり、先にゐた。後に二人ほど女性の方がやつてきたのだが、さうなるともう画廊はいつぱいである。テンコさんの作品は、染め和紙(染めおきしたものや古い作品を解体して出たもの)と反古紙(テラダさんが書や水墨のお稽古の過程で出たもの)を貼り合はせて作つた紙で作つたオブジェである。壁にかかつてゐたり、床に佇んでゐたり、天井から吊されてゐたりする。植物を思はせる曲線に満ちた造形で、素材から来る質感と作り出す感じが面白い。私はテンコさんの作品を観るのは初めてで、今までどのやうな作品を作つてきたのかも知らなかつたのだが、備へ附けてあつたファイルによつて、テンコさんの学生時代からの作品の軌跡をみると、やはりそこに時代の刻印・作家の軌跡のやうなものが感じとれて興味深かつた。基本は、和紙を染めてオブジェを作る、といふので一貫してゐるのだが、やはり80年代〜90年代にかけての作品にはエイティーズ的なものを感じ、なるほど、といふ感じなのだけれど、今回の作品は、明らかに今の時代のもの、といふ印象なのだ。繊細でひつそりして、淡い。私は『三足』及び『紙魚子』といふ作品が、トモコは『成さぬ花』及び会場の入り口にあつた無名の作品が、気に入つた。テンコさんにボジョレー・ヌーボーを振る舞つていただき、そこを出る。

 夜は法善寺横町にある「浅草」で、Yくんも交へて3人でスッポン鍋をつつく。まだ、口に中にスッポンの生き血の感覚が残つてゐます。

小川顕太郎 Original: 2004-Nov-20;