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 Diary 2004・5月29日(SAT.)

 タカハシくん来店。タカハシくんはよく夢を見るさうなのだが、それも大抵は怖い夢なのださうだ。で、昨晩も怖い夢を見たさうで、その話をしてくれる。

 タカハシくんは多くの人たちとともに処刑されるのを待つてゐる。何番目に処刑されるのか、といふのが皆の関心の的なのだが、タカハシくんは籤によつて 9 番目か 36 番目かを選択できるやうになつてゐて、それでもどちらもイヤやー! と思つてゐると、巨体の黒人の男が「自分が一番に行かう」と名乗り出た。どこかで見たことのある顔だ、と考へてみると、それはヒップホップの東西抗争の渦中に殺されたニューヨークの人気ギャングスタ・ラッパー、ビギー・スモールであつた! 刑場に悠然と進み出るビギー。ちなみに、ビギーの喋る言葉はもちろん英語なのだけれど、字幕が出るので(どこに?)、タカハシくんにも分かつたさうだ。

 さてこの刑場だが、水を湛へた巨大な水槽のやうなものが真ん中に据ゑられてをり、受刑者はまづその中に沈められる。しかるのち、上から巨石が落ちてきて受刑者は潰されるのだが、それを周りの観客席からお金持ちの人々が鑑賞する、といふ仕組みになつてゐるのだ。最初に、ビギーが潰された。水槽内の水が血と肉と内臓でドス黒く汚れる。次々とバシャッ! グチャッ! と潰されていく人々。タカハシくんは恐怖に耐へられず、その場を逃げ出した。

 刑場の外は迷路のやうになつてゐて、どこをどう逃げたら良いのかサッパリ分からない。パニック状態に陥つたタカハシくんは、ケータイでトモコのところに電話をした。

「ど、どうしたらいいんですか!!!」

Amazon.co.jp『忍びの者』「…そこを右ぢや、左ぢや、ほれ急げ、急げ! そこをさらに左ぢや!」とトモコから指示が飛ぶ。その指示をもとにひた走る石川五右衛門、もといタカハシくん。…て、これは先日観た映画『忍びの者』ぢやないのか?

 今日は暑かつたです。

小川顕太郎 Original: 2004-May-31;
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