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 Diary 2004・5月21日(FRI.)

オイシン、残剣を目指す

 オイシンを畦石舎に連れていく。昨年、映画『英雄』を観て以来、残剣(トニー・レオンが演じた)になるんだ! と、髭と髪の毛を伸ばし始めたオイシンだが、髭のほうはあまりの周囲の不評に耐へきれずに直に止めたものの、髪の毛はいまだ伸ばし続けてゐて、今やすつかり括つてゐる。それとともに剣の修行も続行中、と書きたい所だが、そんな事はしてゐなくて、代はりに篆書の練習をしようと目論んでゐたやうで、残剣を真似て砂の上に棒で篆書らしきもの書いてしばらくは満足してゐたやうなのだが、そのうち熱が高じてきて「本格的に篆書を習ひたい!」と身悶へするやうになつてきたので、発狂する前に私が畦石舎に連れて行つた、といふ訳だ。

 とりあへずオイシンを小先生に紹介し、私が宿題を提出してそれを直して貰ふ様を見学させ、幸い他の生徒さんがまだ来てゐなかつたので、先生から篆書に関する簡単な話をして貰ふ。私が聞いた事のある話もあり、聞いた事のない話もあり、といつた具合だつたのだが、実は普段はこのやうにじつくり先生の話を聞く機会はあまりないので、私自身も興味深かつた。特に文字学における白川静 vs 藤堂明保の学説対立に対する先生の評価、のやうな傍系的な話が面白く、オイシンを連れて行つて良かつた、と思つた。オイシンは、どうやら篆書を始めるやうだ。

 ヤマネくん来店。4 月頃からずつとサラサの 3 号店を手掛けてゐたのだが、先日やつと(とりあへず)仕上がつたさうで、ホッとした顔をしてゐる。

「いやー、もー、しんどかつた! もう、2 度と同ぢことはしたくない! 次からは工務店をいれます。自分達でやるのはコリゴリ! …でも、ホントは自分達でやつた方がいいものが出来るんですよねー。と、いふ訳で、サラサ 3 号店は素晴らしい店になつてゐますよ! 是非行つてみて下さい!」

 さうか。ぢや、オパールが休みの木曜日にでも、見に行きます。…え? サラサ 3 号店も木曜定休なの? それぢや、行けないぢやん。

 でも、ま、木曜定休のカフェはいいカフェなんですよ。(適当)

小川顕太郎 Original: 2004-May-23;