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 Diary 2004・5月10日(MON.)

主語

 タカハシくん来店。地元の友だちを連れてくる。彼は現在東京に出て働いてゐるさうで、昨年タカハシくんが東京に行つた時に泊めて貰つたのが彼であり、今回は彼が京都にやつて来て、タカハシくんの部屋に泊まつてゐるのだ。京都に友だちが来たら色々と連れていかなくては、でも京都のこと何も知らないし、と前から言つてゐたタカハシくんだが、確かに京都に出てきてからも働きづめなので京都のことは何も知らない。とはいへ、週に一日は休みがあるのだから、興味さへあれば色々と京都を探索することはできるのだが、ま、そこまでの興味はない、といふ事だらう。故にこのやうな時に困ることになる。加へて本日は雨であり、一応朝一番で二条城には行つたものの、あとは「鬱陶しくて」部屋に帰つて寝てゐたさうだ。うーむ。

 で、明日はどこかに行くのかい? と尋ねてみても、二人とも「いや…」と首を捻るばかり。二人とも京都のことなんて何も知らないのだから、いはゆる観光名所を廻ればいいぢやないか、金閣寺とか竜安寺とか。結構面白いと思ふよ、と言へば、二人とも竜安寺を知らなかつた。ガクッ。で、軽く石庭の事など説明したりしてみると、なんだか興味を持つたやうで、明日行つてみます、と言ふ。うーん、軽く口にしたけれど、楽しめるかなァ、竜安寺。三十三間堂とかにしておけば良かつたか。

 ちなみに、タカハシくんのお友達は、フィリップ・K・ディックを愛読する普通の今時の若者であつた。むむむ、タカハシくんだけが特別なのか。お友達の話によると、仲間内でもタカハシくんの文章(携帯メールなどの)は、日本語になつてゐないと、前から評判だつたとは言ふのだが。

 日本語になつてゐない、と言へば、ハッシーもさうなのだが、まァ、二人とも日本語になつてゐない、と言ふよりは、文章になつてゐないのだ。ハッシーの場合、顕著な特徴として、主語がない。主語がないのは日本語の特徴だ、といふ話もあるけれど、それは言葉遣ひ(敬語など)や文脈から主語が推測できるやうになつてゐる、といふ話であつて、もちろんハッシーの話ではそのやうな事は不可能である。何が何やら、サッパリ文意がとれない。そこで、観た映画の筋を話させるやうにしてゐるのだが、これがまた凄い。凄すぎて、私にはとてもここに再現できない。が、頑張つてやつてみると、たとへば、ヒッチコック監督『めまい』の筋は、「金持ちの奥さんを殺してお金を盗らうと計画して、ソックリさんを螺旋階段を上らせるんですが、高所恐怖症なんで階段を上れなくて、アーとか思つてゐると、上まで辿り着いたら本物の夫と奥さんがゐて、本物の奥さんを突き落として、完全犯罪にするんです」といつた感じ。本当はもう少し支離滅裂なのだが、私には再現できません。

 で、まァ、ハッシーにはしつこいほど主語をいれるやうに注意してゐるので、最近はマシになつてきた、かな?

 雨、だなァ。

小川顕太郎 Original: 2004-May-12;