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 Diary 2004・3月23日(TUE.)

スローライフ

 オカヤマくん来店。オカヤマくんは陶器でロボットを作る陶芸家さんであるが、最近は文筆と教室(先生業)に忙しくて、肝心の制作の方はサボつてゐるのださうだ。オカヤマくんはもうすぐ亀岡の工房を引き払ひ、兵庫の実家に制作場を移すさうなのだが、実家は農家なので、家業の農業を手伝ひつつ、陶器制作に打ち込むのだといふ。

 お! 凄いぢやん、それ、結構みんなが憧れる生活ぢやないの? と私が問へば、「ええー、スローライフ、て奴ですかー、ボク嫌いなんですけどね、さういふの。」と応じた。「大体、農家の人間ほどスローライフから遠い存在はないですよ。煙草ひとつ買ひに行くのにも、絶対に車を使ひますからね。インターネットがもつと整備されないかなー、とか、高速道路が通らないかなー、とか、もつと遊び場が出来ないかなー、とか、アンチスローライフな欲望ばかりが渦巻いてゐますよ、実際」

 なるほど。オカヤマくんは来年、ちやうどロボットを作り始めて 10 周年といふことで、ちよつと大規模な展覧会を二つほど開く予定ださうだ。頑張つて下さい。最後に、オカヤマくんに最近のオススメ展覧会をきいてみよう。

芦屋でやつてゐる『幻のロシア絵本 1920−30 年代展』ですね」

 御教示、ありがたうございました。

 タカハシくん来店。『お熱いのがお好き』『モダンタイムス』と、白黒映画と(半ば)サイレント映画を楽しめた事によつて、すつかり自信を深めた様子のタカハシくん。それでは、といふ事で、サイレント時代の巨匠グリフィス監督の傑作を、観せてみることにした。『イントレランス』? 『国民の創生』? いやいや、それは、もちろん、『散り行く花』だ!! リリアン・ギッシュ主演の傑作悲劇。あの淀長も自らのベスト(のひとつ)にあげ、トモコも思はず DVD を購入してしまつた作品だ。むろん、私も大好き。さて、タカハシくんの反応は如何に?

「…なんか、やつぱ、身を入れることが出来なかつた、といふか…」

 やはりな。まだ、タカハシくんには難し過ぎたかもしれない。20 年後に観直してください。

cover

 ちなみに、この作品は DVD で所有する価値が充分あるものですが、日本版の DVD には最初に淀長の微妙に間違つたストーリー解説(といふか説明)が入るので、初めて観る人はそこを飛ばしてから観て下さい。

小川顕太郎 Original: 2004-Mar-25;
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