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 Diary 2004・3月15日(MON.)

ブタメシ

 イチモトくん来店。前回のソウルサバイバーズが、始まつて以来の最低動員数を記録したため(21 人!)、かなり悩んでゐるやうだ。DJ の内容だけとれば、いつも通りの水準は保つてゐた訳で、実際我々はかなり楽しんだのだが、それと動員数は別である。イチモトくんもイベントの主催者として、ある程度の動員数を確保する事に必死ではあるのだが、そのためにイベントの水準を落としたくない、と言ふ。もちろん、動員数アップ=イベントの内容低下、の訳はないのだが、イチモトくんの求めてゐるのがどうしてもコアなものなので、どうしたつて最終的にはそのやうな結論に落ち着いてしまう。動員数を上げるためには、ソウルにそれほどの興味がない人たちでも楽しめる雰囲気・仕掛けを作るしかないのだが、それは重々分かつてゐると言ひながら、イチモトくんにはそれがどうも堕落に思へて仕方がないやうなのだ。「もう万策尽きました」とイチモトくんは眉を顰めて言ひ、下を向く。重苦しい空気が、カウンター上に漂つた。

 しばらくして、イチモトくんはフッと顔を上げ、かう言つた。「最近ブタメシに凝つてゐるんですよ」。

 え? ブタメシ? …確か、あれは不味いと言つてゐたんぢや…。

「いへ、あれは『ぶた丼』です。外で食べるやつですよ。ボクのは自分で家で作るやつです。まづ鰹昆布出汁を濃いめにとります。それに生姜を摺り下ろして豚肉を煮るんですが、その時にタマネギも薄切りにして一緒に入れます。そしてタマネギが柔らかくなるまで煮るんですが、出来上がる寸前に豆板醤を入れるんです。これがポイント。で、出来上がつた奴をご飯にかけて食べるんですが、これがなかなか!」

 さうか、それは良かつた。

「この間ねェ、このブタメシの話をイズミくんにしたんですが、その時にイズミくんから『家で作る時ぐらゐ牛肉を使へよ』と言はれたんですが、この『豚』を使ふところが、ボクなりの男の美学なんですよ。妥協できませんね」

 なるほど、イチモトくんは何につけ妥協するのはイヤだ、と言ふことで。

 みなさん次回のソウルサバイバーズは 5 月 14 日。イギリスからブッチがゲストでやつてきます。またしても素晴らしいレコードをドッサリ持つて来ることでせうから、お暇な方は是非足を運んでみてください。ブタメシソウルを味はつてみてはいかがでせうか。

小川顕太郎 Original: 2004-Mar-17;