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 Diary 2004・3月8日(MON.)

算数

 タカハシくん来店。分数の計算の続きを教へる。タカハシくんは、分数の計算のやり方を「ただ」暗記しようとしてゐて、その記憶があやふやだから、間違へるのだ。掛け算の場合は分母・分子同士を掛ける、とか割り算の場合はひつくり返す、とかの方法だけを覚えやうとしてゐるのだ。だから、1/3 × 1/2 = 2/3 とか答へたりする。故に、前回は、ただやり方を覚えるのではなく、そもそもこの計算式がどのやうな意味を持つてゐるのか、を教へやうとした。線分図を使へば、分数の計算も全て図示してその意味を示すことができる。で、そのやうにして教へて分かつたこと。

 まづ、タカハシくんは、割り算をしたら数が減り、掛け算をしたら数が増える、と思ひ込んでゐるので、分数の計算ではしばしば逆になる、といふ事が理解できてゐなかつた。だから 1/3 × 1/2 = 2/3 なのだ。この思ひ込みを外すやうにした。

 次に、「1」といふことが理解できない。「1」といふのはある全体を指すもので、単位のついた特殊なものを指すのではない、といふ事が理解できないのだ。たとへば、1/3 ÷ 1/3 といふ計算をするとする。この式の意味は、1/3 の中に 1/3 が何個あるか、といふ事である(もちろん、もつと他の解釈もある)。で、この意味でいくと、1/3 の中には 1/3 が 1 個ある、といふ事になつて、答へは「1」である。

 これを線分図で表すと、分かりやすい。1 本の線を 3 等分して「1/3」を示し、この中に「1/3」は当然ひとつしかないので、「1」と答へを出す。が、タカハシくんは、最初に 1 本の線全体を「1」と言つたのに、「1/3」をまた「1」と数へるのが理解できないのだ。図でみても、同じ「1」なのに長さが違ふ、といふ訳だ。

 今日私はこれを、単位の違ひ、として説明した。最初の全体を粉「1」袋とし、「1/3」をその粉の「1/3」を使つて作つた団子として、「1」個、と数へたのだ。すると、「あ! わ、分かりました!!」と大声を出してゐた。が、本当だらうか。

 まさか、二十歳を過ぎた人間に分数の計算を教へることになるとは、考へてもみなかつた。

小川顕太郎 Original: 2004-Mar-10;