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 Diary 2004・7月24日(SAT.)

Please Please Me

 四方田犬彦著『ハイスクール 1968(新潮社)といふ本を読んでゐて、衝撃的な事実を知つてしまつた。正確に言ふと、これは私個人に限つての衝撃的な事実、なのだが、それは以下のやうな事である。

 この本は、四方田犬彦が自らの高校時代を振り返つて記した、一種の自伝である。その中で、同級生にビートルズを教へられ、すつかり夢中になつてのめり込む話が出てくる。ビートルズに関しては、私も四方田犬彦が夢中になつた約 12 年後に、中学生の時に夢中になつてのめり込んでしまつたものである。とにかくビートルズとジョン・レノンに夢中な中学時代を過ごしたものだから、なんとなくビートルズに関しては知つてゐるやうな気がしてゐた。が、これが案外くせもので、私の場合、四方田犬彦と違つて導いてくれる友もおらず、中学生の貧弱な能力でただがむしゃらに取り組んでゐたものだから、とんでもない穴が多いのだ。その事に、長じるに及んで何度か気づかされる事があつたのだが、今回のもかなり衝撃的であつた。coverそれは『Please Please Me』といふ曲の題名に関してで、この最初の「Please」と次の「Please」は意味が違ふ、といふのだ! 最初の「Please」は「どうぞ」「どうか」といふ意味での「Please」、次の「Please」は「喜ばす」といふ意味での「Please」なのださうだ。つまりこの題名は、「どうかボクを喜ばせて」といふ意味なのであつた! ガーン! ……い、いはれてみれば、全くその通りだー! そんなこと、考へた事もなかつた。多分、このことはビートルズファンの間では常識のはずだ。ジョンは(多分この歌を作つたのもジョンだと思ふが)、言葉遊びのやうな歌詞を大量に書いてゐるので、それの初期の例として(この曲はイギリスでのセカンドシングルだつたはず)、ファンの間ではこの言葉遊びは常識になつてゐると、冷静になつて考へてみれば推察できるのである。…うーん、今頃になつてこんな事を知るなんて、かなりの衝撃。

 このやうな経験は誰でもあるやうで、私が聞いた中で印象的だつたのは、ヤマネくんが大学生になつてから「親子丼」の意味を知つた、といふ話。当然、周りの連中はみんな知つてゐて、「えー! うそー! なんでそんなこと知つてるんやー! そんな…ぢや、ぢやあ、『他人丼』は…あ! さ、さうかー!」と、ついでに他人丼の意味まで分かつてしまつた、といふ話で、これは面白い。

 ま、オイシンが「ニシムクサムライ」を知らなかつたのは、驚きが少ないですが。まだまだ、暑いです。

小川顕太郎 Original: 2004-Jul-26;
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