京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > Diary > 04 > 0719
 Diary 2004・7月19日(MON.)

AMERICAN ME

cover  ビデオで『AMERICAN ME(1992)を観る。これはチカーノギャングの世界を描いた映画で、チカーノラップファン必見の 1 本である。が、日本語版のビデオはすでに廃盤、DVD にもなつてゐないので、いざ観やうとすればなかなか大変なのだけれど、幸いハッシーが持つてゐたので借りて観ることにしたのであつた。

 ストーリー自体は単純で、ひとりのチカーノの若者が犯罪の世界に足を踏み入れ、仲間とともにギャング団を作つて一時はブイブイ言はすものの、最後には破滅する、といふもの。ほぼギャング映画の定番のやうなストーリーである。が、このやうな映画ではストーリーそのものよりも、描かれてゐる風俗の方が重要だ。実際、そこで描かれるチカーノギャングの世界は、チカーノラップファンにとつて非常に魅惑的(?)なものである。チカーノラップを支へる美学が、横溢してゐる。戦前のズートスーツ族の頃から、現在のイースト L.A の街角まで。ファッションひとつ、喋り方ひとつ、どれもこれも興味深い。全編にローライダーミュージックが流れ、ラストはキッド・フロストのラップ曲で締め。2 時間を少し超える長尺だが、堪能した。

 監督・主演を務めたのは、エドワード・ジェームス・オルモス。『ブレードランナー』で Gaff 役(ハリソン・フォードの相棒のブレードランナー、だつたかな?)を務めた役者の人らしく、他にも『白昼の死角』『復活の日』などの日本映画にも出演してゐるらしい。本人もイースト L.A 出身のやうで、この映画は自らの育つたチカーノの世界を描きたいと 17 年間暖めてきた企画の実現したもの。その想ひが、この映画を「熱く」してゐる。この「熱さ」が分からない人には、チト退屈な作品かもしれないが、チカーノに興味のある人は避けて通れない作品であらう。また、アメリカにおける人種間のさまざまな軋轢、文化の厚み、などを知るにもなかなか良いかも。同ぢギャングでも、支へる美学が違ふのだ。そこが、非常に面白い。

 と、いふ訳で、オラレー!

小川顕太郎 Original: 2004-Jul-21;
Amazon.co.jp
関連商品を探す