京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > Diary > 04 > 0705
 Diary 2004・7月5日(MON.)

BaadAsssss Cinema

 リューさん来店。久しぶりである。本人曰く、「もう一旗揚げるために京都に帰つてきた」のださうだ。

「嫁さんは大阪に置いてきました」

 あ、さう。

「実は…**しました」

ええー! さうなの! 

 てな、感じ。リューさんは新しく JOYFUL といふバンドを組んださうで、7 月 17 日にデビューライブをネガポジにて行ふさうだ。どんなバンドなの? と問へば、「お祭りディスコソウルです!」とのこと。フム、面白さうではないか。ちなみに、リューさんは元チェルシーのギタリストです。

cover DVD で『BaadAsssss Cinema』 を観る。これは、所謂ブラックスプロイテーションと言はれた 70 年代初頭に流行つた映画群に関するドキュメンタリーで、パム・グリアやフレッド・ウィリアムソンなどの当時のスターや、タランティーノ、サミュエル・L ・ジャクソン、2PAC のお母さん、などに対するインタビューと、当時の映像によつて構成されてゐる。ブラックスプロイテーションフィルムは、現在のブラックカルチャーの源のひとつでもあり、ことある事に賞賛の言葉とともに取り上げられるものだが、さういふ風になつたのは、ここ何年かの事である。それまでは、下らない、ブラックカルチャーの恥部として蔑まれ続け、当時のスターや関係者たちはひたすら身を縮こめて生きてきたといふ。それは、ブラックスプロイテーションフィルムは、50 年代・60 年代と公民権運動とともに盛り上がつた黒人の政治意識を、服や音楽などの個人消費へと堕落させ、ピンプやハスラーなどを格好良く描く事によつて、黒人=犯罪者といふ紋切り型を広めたから、といふ理由による。しかし、この非難は、今から振り返れば的はずれである。世界的にみても、70 年代といふのは、いはゆる先進国で政治の季節が終はり、ミーイズムが台頭した時代なので、ブラックスプロイテーションフィルムのさういつた側面は、時代の流れに則したものだつたのだ。むしろ、そこからどれほどポジティブなものを引き出す事ができるか、といふのが問題なのである。

 それをやつたのが、ヒップホップカルチャーであつた訳だが、当時ブラックスプロイテーションフィルムが意識の高い・インテリの人々(黒人も含む)から忌み嫌はれたやうに、ヒップホップも、意識の高い・インテリの人々から嫌はれてゐたりする。また、ヒップホップ内でも、意識の高いものを賞賛し、快楽主義的なものを貶す傾向があつたりするのだ。これは、現在でも我々が闘はなくてはならない、政治的焦点である。

 と、いつたやうな事を考へさせられる一本。一見の価値あり、です。

小川顕太郎 Original: 2004-Jul-7;
Amazon.co.jp
関連商品を探す