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 Diary 2004・1月25日(SUN.)

ひとこと

 タクヤくんたちと共に、フランク来店。フランクはノーザンソウルファンのドイツ人で、仕事の関係で 3 ヶ月ほど日本に来てゐたあいだ、どういふ経緯でか関西のノーザンシーンのことを知り、ソウルサバイバーズやマニフェスト、ヌードレストラントなどに顔を出してくれてゐた人だ。オパールにも以前一度、これもまたタクヤくんたちに連れられて、その時は彼女とともに来店してくれた。その彼女といふのがオーストリア人(だつたかな?)のノーザンソウルファンで、真のノーザンファンといふのはイギリスの伝統的なノーザンイベントに通ふ人たちのことだから、彼らもイギリスのイベントで知り合つたらしく、正にノーザンソウルカップル、といふ感じの人たちであつた。非常にフレンドリーな人たちで、オパールのことも気に入つてくれ、私も彼らに好意を抱いたのだが、さて、フランクはあと 1 週間で日本を発たなければならないのであつた。よつて今日がオパールに来られる最後の日。といふ事で、会計の際にフランクから、名残惜しいが今日が最後だ、みたいな事を言はれながら握手を求められ、私も握手を返したのだが、なにかひとこと言はねば、と思ひつつ、結局何も言へずに終はつた。まァ、英語だから咄嗟に言葉が出てこなくても仕方がない…といふのは実は半ば言ひ訳で、正直なところ、私はかういふ場合日本語でも言葉が出てこないのであつた。

 時々、ホームページを見たり雑誌を見たりして、一度オパールに来たい! といふ気持ちを持ちながらやつて来て、その思ひを会計の際などに述べてくれるお客さんがゐる。さういつたお客さんには、遠くからわざわざ来てくれた人に対しては特に、何かひところ適切な言葉を返してあげたい、と痛切に思ふのだが、どうも何も言ふことができない。「あァ」とか「どうもどうも」「それはそれは」「いやいや」など、訳の分からない言葉が口をつくだけで、あとはニコニコしてゐるだけ。我ながら嫌になつてしまう。

 サラリーマン時代、ソツのない会話や、咄嗟の時の気の利いたひとこと、が苦手で苦労したので、サラリーマンを辞めた時に、やつとさういふものから開放される、と喜んだものだが、その考へは間違ひであつた。どのやうな仕事をしてゐても、多かれ少なかれ、さういつた能力は必要である。言つてみれば、これはコミュニケーション能力みたいなものだからだ。

 ううん、つらい。

 さうだ、フランクにひとこと。

「アウフ・ヴィーダー・ツェーン!」

小川顕太郎 Original: 2004-Jan-27;