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 Diary 2004・2月28日(SAT.)

知らない

 タカハシくん来店。タカハシくんが無知であるのはすでに承知してゐたつもりであつたが、今日は久しぶりに驚かされた。以前、タカハシくんの無知さ加減に気が付いた時に、日本がアメリカと戦争をして負けたといふ事実を知つてゐるかどうかきいてみた事があるが、それは知つてゐた。原爆を落とされたのも知つてゐた。最近の若者は日本の敗戦の事実を知らない、と、しばしば言はれるので、本当かどうかきいてみたのだが、少なくともタカハシくんはそこまで酷くないと分かつたつもりで油断してゐた。が、なんと「ナチス」を知らなかつたのだ! といふ事は、当然のやうにホロコーストも知らなかつた。『アンネの日記』とか読まなかつたのか? ッて、読んでゐる訳ないか。

 しかし、ナチスやホロコーストを知らないとなれば、実質何も知らないのに等しいのではないか。いや、もちろん、そんな事を知らなくても生きていけるだらうし、それでも構はない! と乱暴に言ひきることも可能だらう。が、やはり…、ホロコーストを知らなければ、戦後のイスラエル・パレスチナの問題も知らない・分からないだらうし、ひいては 911 からイラク戦争に至る現在の状況も全く理解できないといふ事になるだらう。実際何も理解してゐないだらうけど。これではいけないと、私はいちおう、簡単な説明を試みたのだけれど、説明することが多すぎて、途中でタカハシくんの顔が明らかに「容量オーバーです」といふ表情になるのを確認して、口をつぐんでしまつた。何かマンガでも、手塚治虫の『アドルフに告ぐ』 でも読んだらどうかと薦めやうかとも思つたのだが、いや、あれはタカハシくんには難しいかもしれない、水木しげる『劇画 ヒットラー』 の方が良いかも、などと考へながら、結局何も薦めなかつた。そもそもタカハシくんは一日 12 時間以上働いてゐて、家に帰つても活字を追ふのは非常にしんどいやうなのだ。どうしても寝てしまうやうだ。そんなタカハシくんに、やたらと本を薦めるのはどうかと、最近は躊躇するやうになつてしまつた。難しい。

 あれ? 2 月は今日で終はりぢやないんですね。

小川顕太郎 Original: 2004-Mar-1;
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