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 Diary 2004・8月29日(Mon.)

(oh!)水木しげる展

 京都大丸に「大(oh!)水木しげる展」を観に行く。これは荒俣宏 & 京極夏彦両氏によるプロデュースで、水木しげるの作品をみせる、といふよりは、水木しげるの世界をみせる、といつた趣の展覧会である。だから、水木しげるの作品やコレクションが展示されるのは勿論だが、水木しげる作品に現れた様々な現実世界にはない事物も展示され、水木ワールドが堪能できる仕掛けとなつてゐる。たとへば、人魂の天ぷらやねずみ男愛用のそろばん、鬼太郎の家や下駄、テレビくんの写るテレビ、などが展示されてゐるのだ。私は、かういつた趣向は少々あざといかな? とも思つたのだが、ザ・ビンボーズが出した「ぺったらぺたらこ」の EP 盤にはチョット惹かれた。これは私が GS に凝つてゐた時代に血眼になつて探した一枚であり、死ぬまでに一度は聴いてみたいと思つてゐる曲だからだ。さういへば昔、根本(敬)さんも「ぺったらぺたらこナイト」といふのをやつてゐたが、とにかく探してゐるマニアは多いはずである。私は、このレコードが無事に会期中あるだらうか、と少し心配した。

 とにかく、知つてゐる人は知つてゐるのだが、水木しげるといふ人は、真に偉大な人物のひとりである。この世には「水木しげるワールド」といふのが厳然としてあつて、それを知る・知らない、それに参入する・しない、では、人生におおきな違ひが生じる、といつた調子のものである。それなのに、世の大半の人々はそんな事もしらず、平気な顔をして『7つの習慣』なんかを読んで生きてゐるのだと思ふと、ゾッとするやうな感覚に襲はれる。我々は、水木しげるといふ人が現に我々と同時に生きてゐる、といふ事実にもつと驚き、幸せを感じるべきなのだ。…などと別段私が力瘤をいれて言ふまでもなく、会場は多数の老若男女で賑はつてゐた。ここから、水木しげるの云ふ「幸福菌」が世に広まつていけばいいなァ、などと考へながら、私は水木しげるの黄金の座像を買つて、そこを後にした。

 大型台風が、ゆつくりゆつくり接近中です。

小川顕太郎 Original: 2004-Aug-31;