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 Diary 2004・8月25日(Wed.)

停電騒ぎ

 思つたより停電は長引いた。カウンターにゐる常連組以外のお客さんは、全員非常階段で帰つていつた。

「ハッシー、せつかくだから、ここでひとつ、何か面白いことでも言つてよ」

「えー、いやー、ぢやー、んー……かういふのも、結構いいもんですねー」

「なんやそれ! ちつとも面白くない! たとへば、エレベーターが止まつてしまつて、もし中に誰か乗つてゐたら、まるで『死刑台のエレベーター』みたいですねー、みたいな事、言へないの。あれだけ映画観てゐるんだから」

「あ! それ! それ! それです! それ、ボクが言つた事にして下さい!」

「あれー、ハシモトくんッて、黒すぎて暗闇ではよく見えないねー。透明人間みたい」とマツモトさん。

「何を言ふんですか! …くやしい」

 と、皆が暗闇の中ではしゃいでゐる間、私は、早く電気が復旧しないかなーと思ひながら、窓から街の様子を眺めてゐた。それにしても、今回は復旧に時間が掛かりすぎる。今までに何度か停電はあつたが、いつも 10 分ほどで復旧してゐたはずだ。……そのうち、私は妙なことに気がついた。

 けたたましいサイレンの音をたてて、消防車が前の道路(河原町通り)に集まり始めたのだ。停電のため、信号も消へてゐるので、他の自動車も混乱気味のところに消防車が入つてくるので、さらに混乱は増してゐる。消防士たちの怒号が飛び交ひ、野次馬も集まりだした。火事なのか? どうもさうらしい。どうやら隣のビルらしいのだ。よく見れば、暗闇の中に煙りがあがつてゐる。

「ウワーイ、見てこようッと!」と、オイシンが飛び出して行き、他のみんなもそれに続いた。オパールに残つた私は、携帯電話でオイシンに様子を聞く。

「ええーと、どうも隣のビルの地下らしいです」

 なるほど。その後、すぐにオイシンとは音信不通になつた。といふか、携帯電話自体が使へなくなつたのだ。あまりにたくさんの人が、同時に同場所で携帯電話を使おうとすると、電波が混乱して携帯電話は使へなくなる。もし私が火事でビルに閉じこめられてゐたとして、携帯で連絡をとろうとしても、このビルの下に集まつてゐる大量の野次馬たちのせゐで、使へないんだらうなァー、と、考へたりした。

 それにしても、もう 0 時を過ぎてゐるのに、ドンドンと野次馬が集まつてくる。上から見てゐるとよく分かるのだが、ホント、野次馬といふのは邪魔である。消火活動の邪魔をしてゐるとしか思へない。消防士の人たちが怒鳴るのも無理ないと思ふ。

 そのうち、梯子が 2 台、消防車からせり上がつてきて、そのうちの 1 台は我々のビルの前を通過して隣のビルの上へとあがつていつた。もちろん、梯子の先には消防士の人たちが乗つてゐる。何をするのか。窓から身を乗り出して見る、トモコとユキエさん。後ろから見てゐた私は、二人が窓から落ちやしないかとヒヤヒヤした。梯子は、ビルの天辺から舐めるやうに、下へ下へと下がつていく。ううーん、いつまでたつても消火活動が始まらないなー。大丈夫なのか? それとも、何人かはすでに、ビル内に突入してゐるのか? オイシンたちが帰つてくる。

「なんだかモタモタしてますねー。あ、さういへば、『あそこに助けを求めてゐる人たちがゐる!』ッて、店主たちのこと指さして騒いでゐる人たちが、何人もゐましたよ」

 やはりな。

 さらに幾時か経つて、消防士の人が拡声器でかう宣言した。「みなさん、中京消防署です。煙が出てゐるといふ知らせがあつたので調べましたが、火事ではありませんでした! 安心してください」

 なんだ、間違ひだつたのか。ま、良かつた。…にしても、まだ電気は復旧しないのか。だんだん、非常灯の明かりも消へてきて、真の闇がオパールを包みつつあるのだが…。

 結局、1 時頃に、やつと電気は復旧した。その時まで残つてくれたハッシー & YO! ちゃんに感謝。暗闇の中でも退屈せずに済んだ。本日はあまり暑くなくて助かりました。

小川顕太郎 Original: 2004-Aug-27;