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 Diary 2004・4月1日(THU.)

花見

 毎年恒例の花見を行ふ。昨年同様「コーシン」に集合、しこたま飲んで食つてから、みなで円山公園に行き、さらにそこでも飲んで食ふ、といふ趣向だ。今年はコーシンの段階で 20 人近い人数が集まり、何故か可能涼介がやつて来たり、T 子さんと YO!ちやんが幼い時の知り合ひであつた(途中で YO!ちやんが転校)ことが判明したり、ベッチがいつものやうに大量に食べて飲んだりと、盛り上がる。予定を大幅に過ぎてから円山公園へ。

 円山公園では運良く枝垂れ桜の真ん前に席を占めることができ、マツヤマさん & サコさん、ヤマネくん & タショくんも加はつて、ほぼ完璧な夜桜花見となつた。ちなみにヤマネくんは仕事の最中に金槌で自らの指を打ち砕いてきてをり、包帯でグルグル巻きにされた指を示しながら、「今日は医者の命令でお酒禁止なんです」とウーロン茶を飲んでゐた。

 平日でもあり、夜中からは雨になるといふ予報があつたからか、我々が花見を始めた 22 時半頃にはあまり人がゐなかつた。と言つても、大学生らしき人々は大いに、狂つたやうに騒ぎ廻つてゐたのであるが、まァ、我々が席をとるのに困らない程度には空いてゐた、といふ事だ。みな、早めに帰つていつたのだらう。

 私は枝垂れ桜を眺めながら、何かうたひたい、と思つた。短歌でも、演歌でも、ラップでもよいのだが、何かうたひたいと思つた。が、結局終始杯を舐めるに終はつた。杯と言つても、それはビニールコップであり、そこにはお酒や焼酎やワインなどが次々と注ぎ込まれるのだ。地面からは急激に冷気が襲つてきて、我々は重い腰をあげた。空からはポツリポツリと雨粒が降つてきてゐる。残つたお菓子をかき集めて、嬉しさうに持つて帰るベッチの姿をぼんやり眺めながら、私は来年こそ何か詠おう、と考へてゐた。

小川顕太郎 Original: 2004-Apr-3;