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 Diary 2003・9月20日(SAT.)

青い鳥文庫

 昨日、タカハシくんに岩波少年文庫の『坊つちやん』を薦めた、といふ話を書いたが、岩波少年文庫にしたのは特に深い理由がある訳ではない。別に他の出版社の少年文庫にしても良かつたのだが、たまたま我が家に岩波少年文庫の『トムは真夜中の庭で』フィリッパ・ピアス著があり、これをタカハシくんにあげやうと思ひ立ち、あげたついでに巻末の他の著作紹介を示しながら、色々説明したことによる。今にして思へば、講談社青い鳥文庫にしておけば良かつた。個人的には、岩波書店より講談社を応援したい気持ちがあるからだ。

 そもそも岩波書店といふ所は、山本夏彦いふところの「岩波用語」によつて、難解といふよりは生硬な、日本語とはとても呼べないやうな日本語(?)を連発して、日本語の、つまりは日本文化の破壊を押し進めたところである。それに対して、講談社は戦前から今に至るまで日本の大衆文化を守つてきた出版社。それなのに、未だに岩波文庫は偉くて講談社ノベルズは低俗、といつた、インテリコンプレックス丸出しの偏見が残つてゐるやうにみえる事が、私は普段から残念でならなかつた。だから、同じ『坊つちやん』を買ふなら、岩波少年文庫よりは講談社青い鳥文庫で、と、まあ、後の祭なんだけど、薦めれば良かつた。不覚。残念なので、ここに記しておきます。

 とは言つても、講談社青い鳥文庫の方が、岩波少年文庫よりなんでもオススメ、といふ訳ではない。たとへば岩波少年文庫の『水滸伝』(上・中・下)は、高島俊男も絶賛の松枝茂夫訳で、私も先日読んだけれども、確かに素晴らしかつた。対して青い鳥文庫版の方は、読んでゐないので何とも言へないのだけれど、全 1 冊といふ短さなので、ちょつと縮め過ぎか? といふ気がしないでもない。まあ、『水滸伝』なら、岩波少年文庫の方を薦めるかなァ。

 イチモトくん来店。小林よしのりの『戦争論 3』を立ち読みしてゐて、感動のあまり思はず泣きさうになつたので、不審者に思はれるのを恐れて急いで買つて家に持つて帰つた、といふイチモトくんだが、先日は金沢に行つてきたさうだ。そこの魚市場で食べた魚介類がとにかくおいしかつたさうで、「今まで食べたもののなかで最も旨いと断言できる!」と強く言ふ。「是非、何としてでも、行つて下さい、金沢へ」とイチモトくん。はい、いつか行きます。

 昨日あたりから、寒くなつてきました。

小川顕太郎 Original:2003-Sep-22;