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 Diary 2003・10月21日(TUE.)

甲子園は遠い

 イチモトくん来店。「ブーツィーズレコード」で雑誌「SOUL ON」の古い号、だいたい 70 年代頃のもの、を大量に手に入れた、と持つて来る。「SOUL ON」は、桜井ユタカ氏を中心に複数のソウルマニアによつて発行されてゐる、ソウルファンジンである(先日そのうちのひとり、福田一郎氏が逝去されたさうで、御冥福をお祈り致します)。現在に至るまで営々と続いてをり、私もごくたまに読んだりするが、これほど古い号をみたのは始めてである。当時の来日アーティストのインタビューや(ヤングハーツ!)、新譜情報など(インビテーションズ!)、なかなか興味深い。イチモトくんも熱心に読んでゐる。そして一言。「…すでにこの頃から、日本に於けるソウルをめぐる状況は依然厳しい、と書かれてゐるんですよ。30 年間厳しいままで、一体ボクらにどうせェと言ふんですか」。うむ。

 ヤマネくんから電話。声がえらく暗い。実は次の木曜日の日本シリーズ、甲子園でのチケットを、ヤマネくんは私のためにとつておいてくれたのだ。今年はなぜか私は甲子園と縁が遠く、ヤマネくんと何度も一緒に行く計画をたてたのだが、全てオジャンになつてゐる。で、今度こそが正真正銘、何度目かの正直、といふ訳なのだが、入手困難と言はれた日本シリーズのチケット。まァ、ヤマネくんの事だから入手は出来ると思つてゐたが、あまりにもスムーズにいきすぎたため、私は些か不安にも感ぢてゐた。このままうまくいくはずがない……。さう、うまくいかないのであつた。

「今日の試合が雨で流れたの、知つてゐますか。…さうですか。で、どういふことになるかは、知つてゐますか。…実は、残りの日程が全てずれるんですよ! だからボクらのチケットは、金曜日になるんです!」

 ガーン! …やはり、そんな展開ですか。金曜日となれば、ヤマネくんも仕事の関係上、かなり遅れていく事になるさうだ。私は、もちろんオパールがある。ある、のだが…ここは、ひとつ、無理してでも行く、か。…とはいへ、今年は徹底して甲子園に縁のない私のこと、もしかしたら、阪神が 4 連敗して木曜日で日本シリーズが終はり、金曜日の試合はないかも。

 甲子園、遠いなァ。

小川顕太郎 Original:2003-Oct-23;