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 Diary 2003・5月25日(SUN.)

水は大丈夫か?

 雑誌「ムー」6 月号を購入する。…え? 「ムー」なんて読んでゐるの? と、言はれさうだが、まあ、シャレでたまにね。今回は特集が「アポロ疑惑の真相と月=空洞論」だつたもんで。が、実を言ふと、肝心のこの特集はあまり面白くなかつた。月にはすでにエイリアンの基地がある、とか言はれてもねえ…。まあ、そのエイリアンと戦争をするために、アメリカは地球の統一を狙つてゐる(地球の支配を狙つてゐる)、といふ下りだけは、ちよつと面白かつたけれど。

 それはともかく、「日本の『水道水』は死の水だつた」といふ記事があり、これがなかなか面白かつた。「ムー」に載つてゐる記事だから、どこまで信用できるかは分からないけれど、別に陰謀論でもないし、多少大袈裟なのを除けば、まあ、大体は信用できるのではないか? それは以下のやうな内容の記事であつた。

 まづ、日本の水道水の水源は、そのほとんどがダムや河川などの「表流水」だといふ(約 71.8 %)。が、外国では「地下水」がその水源のほとんどを占める所が多く、フランスでは 64 %が地下水、オランダやドイツでは 80 %が地下水、イタリアでも地下水 50 %に湧水 38 %で、表流水は 12 %に過ぎないといふ。「地下水」は、大地といふ濾過装置を通つてゐるので、それだけで浄化されてゐるが、「表流水」は汚染されたまま。農業排水・工場排水・生活排水などの汚染がそのままで、非常に汚い。で、これを消毒・殺菌するために、日本では他国より大量の塩素を水道水に投入してゐる、とのことなのだ。

 さらに言ふと、この塩素を大量に投入する水の浄化方法は「急速濾過」方と云つて、あまり良い濾過方とされてゐない。ヨーロッパ諸国や、「急速濾過」を開発したアメリカでも、昔から「緩速濾過」方が主流である。これは砂礫層を敷設した貯水池に原水を導入して、長い時間をかけてゆつくり水を濾過する方法だ。つまり、大地(自然)の力を利用した浄化方法で、こちらの方が安全で良いとされてゐる。実は、日本も戦前はこの「緩速濾過」で水を浄化してゐたのだが、敗戦後、日本を占領した米軍が、手つ取り早く駐留軍・占領軍のために安全な水を確保するために、「急速濾過」方を日本に強制したのである。アメリカは各地の進駐地で似たやうな事をしてゐるのだが、たとへばドイツなどではアメリカ軍が引き上げると同時にこの「急速濾過」を辞めてゐるのに、なぜか日本ではそのままズルズルとこの方法を続け、現在に至つてゐるといふ…。

 つまり日本では、もともとの水が汚く(表流水)、それを不完全な濾過方法で浄化し(急速濾過)、大量に塩素を入れるので、この塩素がまた身体に悪い、といふことになる。「ムー」のレポートでは、さらに、浄水器を使つても、浄水器自身から出る化学物質などがあるので、水は浄化されない! と続くのだが、これは多少行きすぎの感がある。ぢや、どうすればいいと云ふのか? あまりにも危険を煽りすぎると、かへつて危険でだ。このレポートでも、記事を面白くするために、データなどの歪曲が行はれてゐる可能性は十分ある。といふか、まづ行はれてゐるだらう。単純に考へて、ヨーロッパの水道水は汚い、と一般的に云はれてゐるのはどういふ事なのか? 浄水器から出る銀が危険! と言つてゐるが、なぜ高級食器はみな銀製なのか? など、いくらでも疑問が沸いてくる。やはり、眉に唾をつけて読むレポートなのだらう。

 とはいへ、日本の水道水に問題がない、とはとても云へない事は確かだ。カフェとかをやつてゐると、特に水の問題には敏感になつてしまう。お客さんに出すものだし、そもそも水がおいしくなければ、おいしいコーヒーもいれられないからね。

 ま、てな感ぢで。

小川顕太郎 Original:2003-May-27;