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 Diary 2003・5月24日(SAT.)

ロードショー

 本日は待望の映画『8 Mile』のロードショー初日である。が、私は仕事があるので観にいけない。1 年ほど前からこの映画について騒いできた私であるが、その頃は周りの人たちにこの映画の話をしても「エミネム? 誰それ。ラッパー? ああ、さう」と云つた冷たい反応しか返つてこなかつた。しかし、エミネムの来日公演のおかげもあつてか、ここ一月ほどですつかり『8 Mile』は浸透し、みんな楽しみに待つやうになつたやうで、それは嬉しい。嬉しいのだが、オイシンなどが「もう、初日に観に行つちやいますよ!」などとはしゃいでゐるのを見ると、なんとなくムカツク。ああ、今頃オイシンとかハッサクさんとか、ババさんとか、みんな『8 Mile』を観てゐるんぢやないか? と思ふと、仕事をしながら気もそぞろだ。そこにババさんが来店。み、観てきたんですか?

「ああ、観てきましたよ」

 で、どうでした?

「うーん、なんか、よく分からない感ぢですねえ」

 さうですか…。やはり、エミネム、役者としてはイマイチなんですかねえ…

「へ? エミネム? いや、ニコール・キッドマンですよ」

 え? ……ババさんは『めぐりあう時間たち』を観てきたのであつた。

 それにしても、今日は遅くまで若者たちがたくさん街に出てゐる。オパールも若者たちでいつぱいだつたのだけれど、彼(女)らは「満席だつたなあ、次の回か」「次の回に間に合ふかなあ」などと話し合つてゐる。むむむ、やはりみんな『8 Mile』を観にいくんだな。羨ましい。それにしても、ギターを持つたいかにもロック野郎といつた感ぢの若者まで『8 Mile』に行くとは…良いことではある。

「いや、みんなきつと『マトリックス』に行くんですよ」とショウヘイくん。

 なに? 『マトリックス』も今日なの? …さうか! それで、みんなサングラスをかけてゐたのかあ! こりゃ絶対『マトリックス』だな。…ううん、『8 Mile』、誰か観に行つてゐるんでせうか。

小川顕太郎 Original:2003-May-26;