京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > Diary > 03 > 0520
 Diary 2003・5月20日(TUE.)

魔性の女

 本日も異常に暇。仕方なく、雑誌なぞをペラリペラリとめくつてみたりする。新潮 45 。最近の私のお気に入りはこれだ。私はひとつの雑誌を買ひ続ける、といふことはあまりしない。店頭でパラパラと見てみて、面白さうなら買ふ。いつも買つてゐる雑誌でも、面白くなささうだつたら買はない。ほんとうは、雑誌は買ひ続けた方が良いのだらうが、店頭で見たときに興味が出ないものは、結局買つても読まないし、様々な雑誌を買ひこむ費用もバカにならないからだ。

 で、「新潮 45」。最近は 3 回に 2 回は買つてゐる。今月号(6 月号)も買つた。で、パラパラとめくつてゐた訳だが、この雑誌、毎号異常殺人事件のレポートを載せてゐて、それが目玉となつてゐるのだが、私はいつもこの目玉レポートは読まない。気分が悪くなるから。トモコが毎回熟読して、気分が悪くなつた! と怒つてゐる。が、今号のは珍しく読んでしまつた。暇だつた、といふのもあるが、今号の事件は「魔性の女」による事件だつたからだ。

 私とトモコの間でしばしば話題にあがるもののひとつが「魔性の女」だ。「魔性の女」と聞けば、普通は怪しげな美女を思ひ浮かべるだらうが、我々が話題にするのはさういふのとは違ふ。不美人でデブで、さらに不潔だつたりする「魔性の女」だ。それでも、「魔性の女」だから、何人もの男を虜にし、貢がせ、手玉にとつて、結果、恐ろしい犯罪に手を染めたりする。有名な所では、和歌山毒入りカレー事件のハヤシマスミがゐる。今号にレポートされてゐたのは、同じく和歌山のメル友殺人事件で、「魔性の女」が、男に貢がせ、さらにその男を操つて殺人を行つた(男に殺させた)、といふもの。この事件の「魔性の女」も、いはゆる不美人で、デブである。私は何も、不美人でデブが悪いと言つてゐる訳ではない。が、やはり世間一般の「男を惑はす女」の像からかけ離れるし、実際、この手の「魔性の女」事件では、関係者がみな「なんで、あんな女に…」と首を傾げてゐる。が、何人もの男を狂はせてゐるからには、やはり強烈な魅力があるのである。私とトモコは、そこに人間の深淵を見るやうで、思はず考へこんでしまうのだ。何となく、分かるやうな分からないやうな、分かりたくないやうな、不思議な気持ちである。

 ちなみに、私とトモコの「魔性の女」考察の切掛けとなつたのは、根本さんの名著『人生解毒波止場』(洋泉社)の中の一章、『魔性の巨乳の巻き』である。興味のある方は一読を。

 それにしても、暇だ。

小川顕太郎 Original:2003-May-22;