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 Diary 2003・5月19日(MON.)

本当に人類は
月に行つたのか?

 ババさん来店。「副島隆彦、ちよつとヤバイですよ」と言ふ。副島隆彦は、最近自分のサイトで、人類は本当は月に行つてゐなかつた、といふ主張を展開してゐるのだ。私も、何日か前にヤマネくんから初めてこの話を聞いた時、正直「ヤバイな」と思つた。それで、さつそく副島隆彦のサイトに行つてみて、自分の眼で副島の文章を読んでみたのだが、まだ説を展開し始めたばかりであり、冷静さも残つてゐるやうだつたので、このまま終結すれば問題ないだらう、と思つたのだが、ババさんによると、あれからさらにドンドンと深入りしてゐるやうなのだ。

 人類は本当は月に行つてゐなかつた(アポロ計画は、ソ連を威嚇するための壮大な嘘だつた)、といふ説は、昔からある有名な説である。そして一般的には、この説は陰謀論の一種として、妄想のたぐひとされてゐる(はずである)。だから副島隆彦がこの説に深入りすると、副島自身が陰謀論者として言論界から抹殺されてしまうことになる。となれば、今まで副島が提唱してきた「属国日本論」も、同じく陰謀論の一種として否定されてしまう事になりかねない。私は、「属国日本論」は非常に優れた説だと思ふので、これまで否定されてしまうのはマズい、と思ふのだ。副島自身もこのことに自覚的で、私は自分を陰謀論者として抹殺しやうとする陰謀には負けない! と、言つてきたはずなのだが…。

 そもそもこの手の陰謀論は、決定的な証拠を示すことが難しく、水掛け論に終はることが多い。で、勝負を決するのは、科学的な証拠・論拠云々ではなく、世間の人々がどう思つてゐるか、なのだ。たとへ副島隆彦の言つてゐることが全て間違ひで、月に行つた派の人たちの言つてゐることが全て正しくても、それでも、人類は月に行つてゐなかつた、といふ事はあり得る。だから、問題は世間の大多数の人々がどう思ふか、なのだが、人類は月に行つてゐなかつた、といふ説は、なかなか受け入れられないのではないだらうか?

 とはいへ、最近のアメリカの茶番は酷いので、受け入れる人も昔よりは多いかな? たとへば、湾岸戦争の頃は、実はあの戦争もアメリカがイラクを罠に嵌めた一種の陰謀だつたのだけれど、アメリカの正義はまだ世間の人々に受け入れられてゐたやうに思ふ。が、この間のイラク戦争では、さすがにアメリカの正義を信じる人は少ないのではないか。…そんなことないのかな? 世間の人々が何を考へてゐるかは、はかりがたいです。

「でも、人類が実は月に行つてゐなかつた、といふ事が本当なら、ステキな話ね」

 とトモコは言ふ。

「なんていふか、生きる力が沸いてくるわ。世の中もそうそう捨てたもんぢやない、と思へてくる。人類が実際に月に行つたなんて、興醒めだもの。」

 確かに。人類が月に行く、といふ発想の下らなさは、当時から三島由紀夫らに指摘されてゐたしね。山本夏彦も、何用あつて月世界へ、といふ名言を残してゐるし。

「私は、人類が月に行つてゐない、といふ話を信じたい。そして、2PAC がまだ生きてゐる、といふ話もね!」

 …うーん、2PAC 、まだ新譜を出し続けるんでせうか。

小川顕太郎 Original:2003-May-21;