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 Diary 2003・5月3日(SAT.)

日置先生

 可能涼介と、居酒屋「静」で飲む。可能は今日、中学高校時代の先生に会つてきたさうだ。などと書けば他人行儀だが、私と可能は同じ中学高校だつたので、私の先生でもあるのだが。まあ、私は可能と違つて落ちこぼれ組だつたので(可能は吹きこぼれ組)、先生との関はりもあまりなく、可能のやうに感慨を覚えたりはしないのだ。多分、先生も私のことは朧気にしか覚えてゐないだらう。それはともかく、この先生、名前を日置英剛といふのだが、父は日置昌一といひ、その筋ではかなり有名な在野の学者の人だつたらしい。“ものしり博士”と綽名されたくらゐの博覧強記で、著書も多数ある。やうなのだが、現在ではなかなか手に入らないやうだ。で、この日置英剛先生、お父さんの出した『国史大年表』(全 9 巻)といふ名著の増補・改訂版を出さうと、もう 40 年も頑張つてゐるさうなのだが、まだ出ない。これは、増補・改訂が出来てゐないのではなく、版元が見つからないのだ。いや、正確に言ふと、何度も版元は決まつてゐるのだが、寸前のところでダメになるらしい。さういへば、私も「とうとう『国史大年表』が増補・改訂で復活する!」といふ内容のパンフレットを、本屋で見かけた事がある。そこには、荒俣宏や紀田順一郎、司馬遼太郎など、錚々たるメンバーが、推薦文を寄せてゐて、ビックリしたものだ。で、何故出版寸前でダメになるかといふと、どうも出版社側がビビッてしまうらしいのだ。いくら名著とはいへ、ほぼ赤字必至の企画だらうからね。とくに今は出版不況で、とにかく売れさうな本しか出ないから、状況は厳しいだらう。それでも日置先生は、昨年退職したのだが、あと 10 年は生きるつもりで、そのあいだになんとかする、と言つてゐたさうだ。……日置先生、私は不肖の生徒でしたが、微力(無力?)ながらも、いまさらながら先生の応援をしたいと思ひます。とりあへず、現在比較的簡単に手に入りさうな先生の本(『ことばの事典』など)を、買ひあさらうと考へてゐます。と、いふことで。うーん、ゴールデンウィーク!

小川顕太郎 Original:2003-May-5;