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 Diary 2003・3月18日(TUE.)

でも、やるんだよ

 19 時過ぎ。ちやうど夕飯時で、オパールは暇な時間だ。その空白の時間、ユキエさんが私にかう言つた。

「ケンタロウさん、戦争反対のデモとか、よくやつてゐるぢやないですか。この間もピースウォークがあつたし。でも、結局アメリカはイラクに侵攻するんですよね。小泉さんも、アメリカへの支持を表明してゐるし。あの、デモって、何か意味があるんですか? とても影響を及ぼしてゐるやうには見へないんですけど…」

 なるほど。それは、もつともな感想だ。しかし、やはり、デモにはそれなりに意味があると思ふよ。まあ、これは民主制、君主制、封建制、どの体制であつても同じだと思ふけど、やはり統治する側にとつて、民衆が騒ぐ、といふのが一番困るんだ。特に民主制では、選挙によつて統治者が決められるから、民衆の人気を凄く気にする。だからアメリカ国内で反戦運動が盛り上がれば、政府側としてもそれを無視できない。ベトナム戦争にしても、ソマリア戦争にしても、国内での反戦運動の高まりによつて、中止に追い込まれた側面がある。

「へえー。ぢやあ、日本でのデモはどうなんですか? 日本の参戦を阻止できる?」

 ううん、まあ、それは難しいところでね。まず、日本はアメリカの属国だから、基本的にアメリカの戦争協力要請を断ることはできない。これが大前提。小泉さんも、本当はアメリカに協力して参戦なんてしたくないと思ふよ。

「ええー! さうなんですか?」

 もちろん。だつて、そんなことしても、日本にマイナスのことばかりだもの。軍事力のない日本の戦争協力って、要するにお金を出すことでしょ。この間のアフガンの時も、かなりとられたからねえ。でも、もう日本もお金はないよ。これ以上、増税されたらたまらんし。で、日本における反戦デモの意義だけど、それはズバリ、アメリカの無茶な要求に抵抗するカードなんだ。

「?」

 これは自民党の昔からのやり方なんだけれど、アメリカが何か無茶なことを言つてくる、すると社会党や共産党、左翼学生なんかを騒がせて、「いやあ、アメリカさんの要求に従ひたい気持ちは山々なんですが、ほら、国民が騒いでゐますしねえ。このままいつて、もし我々が倒れて、アカの連中が政権をとつたらどうします? 困るでせう?」といふやうな事を言つて、アメリカに抵抗する。こう言はれたら、アメリカもあまり強いことは言へない、といふわけ。だから、反戦デモで騒ぐことは、結果として小泉さんを助けることになると思ふよ。ほんと、小泉さんには頑張つて貰つて、少しでも戦争協力金を値切つてもらはないとね。…まつたく、消費税の適用範囲の引き下げなんて、冗談ぢやない。そんなもん、払へるとでも思つてゐるのか! こつちはカツカツで商売してるんだ! ふざけるな!! ボケ!!

「ケ、ケンタロウさん、お客さんが…」

 ピース。

小川顕太郎 Original:2003-Mar-20;