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 Diary 2003・3月15日(SAT.)

50 CENT

 ここ一月ほど、週末は必ず雨である。不思議なほど、雨が降る。困つたものだ。喧嘩を売られてゐるのだらうか。それと、個人的な事情を言へば、ここ 1 週間ほどの私は、何故かあまり眠ることができない。ベッドに入つてから 3 時間〜 4 時間ほどで、不思議と目が覚めてしまう。老化現象だらうか。まあ、人間の睡眠といふのは、寝入つてから最初の 3 時間ほどで大体必要量を満たし、あとはその補完といふ話なので、別にいいか、とも思ふ。早く起きて、窓の外に雨の音を聴くと、コーヒーをいれて音楽を聴きたくなる。今日も、早めに目が覚めたので、コーヒーをいれ、CD の電源を ON にした。

 最近はやたらと CD を買い込んでしまつてをり、それらが未聴のまま机の上に積み上げられてゐる。10 枚以上はあるその山の一番上から、とにかく順番に聴いていく。最初は、50 CENT 『GET RICH OR DIE TRYIN'』。今年最大のラップアルバムになるであらうと話題になつてゐるもので、アメリカでは、スヌープが持つてゐた発売後 1 週間の売り上げ記録を抜いてしまつた。それぐらゐ、発売と同時に売れまくつてゐる、といふ事だ。とにかく「ワル」「危険」といふキャラクターの 50 CENT だが、実際に今までに 9 回も狙撃されてゐる筋金入りのハスラーであり、歌詞も過激すぎて今までの曲はすべてインディーでしか発売されてゐないのだけれど、それらが猛烈にニューヨークのストリートで話題となつてをり、正式メジャー発売されてゐないそれらの曲の歌詞に激怒した人々が非難のコメントをマスコミに発表する、といふ騒ぎに昨年からなつてゐた。このやうな環境が、このアルバム(正式なメジャーデビュー盤)をここまで売つてゐるのは間違いないだらう。さういへば、スヌープのメジャーデビュー盤(今まで記録を保つてゐたやつ)も、本物の殺人犯ギャングスタの衝撃のデビュー! といふ形で売られ(実際、当時のスヌープは殺人罪で起訴されてゐた。後に無罪)、あそこまで売れたのであつた。要するに話題先行のイロモノが売れるつてことか? と思ふかもしれないが、さうではない。実際のところ、このスヌープのデビュー盤はヒップホップ史上に燦然と輝く名盤だつたわけで、今聴いても、内容は素晴らしい。同様に、50 CENT のアルバムも、単なるはつたりではない。ドレの作り上げるゴリゴリとしたサウンドに、なんとも悪さうな 50 CENT のラップが乗り、不穏な空気をあたりにまき散らす。胸騒ぎがする。単純にかつこいい。実は、このやうな危険・ワルさう・アンタッチャブルなアーティスト・曲といふのは、ブルース以来のブラックミュージックのひとつの伝統だつたりする。決して単なるイロモノではない。それは特質であつたりする。ロックなど、この「アンタッチャブルさ」を水で割つたものに過ぎない。だから 50 CENT は、ブラックミュージックの伝統に立つた、正統なアーティストである。50 CENT の面構へは、本当にワルさうだ。ちよつと、間寛平に似てゐるが。

 私は、2 杯目のコーヒーを飲み干すと同時に、このアルバムを聴き終へた。

 次に私が聴いたのは…と続けやうと思つたのだが、長くなりさうなのでこの辺で。

小川顕太郎 Original:2003-Mar-17;