京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > Diary > 03 > 0630

 

 Diary 2003・6月30日(MON.)

突発的におかしい

 山田風太郎のエッセイ集『死言状』を読了。先日、あまり面白くないやうな事を書いたが、最後の方はなかなか面白かつた。それから、これは『風眼抄』の時も同様だつたのだが、突発的にもの凄く面白い話がある。思はず吹き出したり、椅子からずり落ちたりしてしまうほどだ。この『死言状』も同様で、何本か突発的に凄く面白い話があり、それ故、最後まで読んでしまつたのだが、何と言つても、ラストに収められた表題作が、猛烈におもしろかつた。山田風太郎が、生前に死んだ、といふ話なのだが、…うーん、やはりネタばれは良くないから、書かないでおかう。興味のある方は、各自手にとつて読んでみて下さい。巻末のエッセイです。

 突発的に面白い、といへば、映画『サイン』(M ・ナイト・シャマラン監督)を DVD で観たのだが、これもまたさういふ映画だつた。M ・ナイト・シャマラン監督は、『シックス・センス』といふ正統派の傑作、『アンブレイカブル』といふ異端的傑作、と、傑作を連発してゐる監督だが、この映画は、怪作といふか、なんといふか、とても奇妙な味はひを持つた作品。で、妙に厳粛な雰囲気のまま映画は進行するのだが、その中で、突発的に面白い箇所が 2 カ所、いや 3 カ所かな、ある。これがホントにおかしくて、トモコとともに大爆笑してしまつた。これも…ネタばれ禁止かな。書きたいけど、書けない。M ・ナイト・シャマラン監督の作品って、そんなんばつかり。実際に、自分の眼で観るしかない、といふ事です。

 昨日の続きで、泣ける映画の話を。オイシンにもきいてみた。

「えー、『ブレイブ・ハート』です」

「おー! あれは泣けるよなー」とババさん。さうだ、ババさん、昔のやつでいいんで、なにか泣ける映画ないですか。できれば邦画がいいんですけど。

「うーむ、さうですね…。ボクは黒澤の『赤ひげ』なんかが猛烈に泣けるんだけど…まあ、『二十四の瞳』とかが、いいんぢやないですか」

 ああ、それはいいですねえ。

「あ、さうだ! あれですよ、あれ! 『野菊のような君なりき』ですよ!」

 あー…それ、観てゐないんですよ。泣けるんですか?

「何言つてゐるのよ! あれは泣けるわよ」と、トモコがすでに眼を赤くして登場。

「あれには泣かされたわ…タミさん、可哀想」

「タミさん! 君は野菊のやうな人だ!」とババさんが突然言ひ、そのまま絶句。しばらくして目頭を押さへ、「ああ、タミさん、ほんとに可哀想や…」と呟く。

 むむむむ、なんか、凄さうだなあ。ぢやあ、ヤマダくんに薦めるのは『野菊のような君なりき』にしますか。

小川顕太郎 Original:2003-Jul-2;