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 Diary 2003・7月15日(TUE.)

死ぬ時

 カンベさん来店。先月の末に、目出度く結婚されたさうだ。おめでたうございます。また、奥さんを連れてきて下さい。で、話は変はるが、カンベさんは舞台の裏方さんをやつてゐる。この仕事は、暗い狭い所で作業することが多く、煙草も吸ひまくるし、古い劇場だとアスベストなど空気も悪く、さらに何故かみんな大量のお酒を飲むので、55 歳くらゐで死ぬ人が多いさうだ。それを横で聞いてゐた可能が、「あ、校正もさう。あの仕事をしてゐる人も、55 歳くらゐで死ぬ人が多い。お酒も凄く飲むし。やはり、裏方仕事といふのは、過剰なストレスが溜まるのかなあ」と言ふ。なるほど。

 とはいふものの、一般的には、世は高齢社会である。そこから老人介護の話に移る。カンベさんの奥さんは、老人介護のお仕事をされてゐるさうなのだが、そこそこ有名な老人ホームで働いてゐるとはいふものの、労働条件の劣悪さはもの凄いといふ。何と言つても、60 人の老人をたつた 2 人で看てゐるのだ! また、本来なら病院に入院させなければならない老人も、介護保険制度のせゐで(介護保険制度によつて、重度の老人がゐる老人ホームには、多額の補助金が出る)老人ホームにたくさん入れられ、とんでもない事になつてゐるといふ。ううん、とにかく、介護保険制度は評判が悪いねえ。あれは失敗だつた、と皆が言つてゐる。補助金が下りる仕事ばかりが優先され、肝心な仕事が疎かにされる。利権に群がる輩のせゐで、老人たちが金儲けの道具にされてゐる。などなどなど。

 私は、フッと、山田風太郎の言つてゐた事を思ひ出した。風太郎はかう言つてゐた。みんな喫煙の害ばかり言ふが、禁煙の害も、案外大きいのではないか。禁煙の害とは、老人が増えることである。……

 ハシモトくん & マツイさん来店。ハシモトくんは、私の薦めた三島由紀夫『憂国』を読んできてゐて、案の定(?)感動してゐた。ひとしきり、『憂国』についての感想を述べた後、マツイさんに向かつて、「オレが死ぬ時は、一緒に死んでくれるか」と言ふ。マツイさんは困惑顔だ。当たり前だつて。

 あ、今日は宵々山だつたのか。

小川顕太郎 Original:2003-Jul-17;