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 Diary 2003・7月13日(TUE.)

菊水鉾

 私が店に行くと、菊水鉾のちまきが置いてあつた。昼間に私の母親が来て、置いていつたのだといふ。なるほど、祇園祭に来たのだな。それにしても、昨年ベッチに貰ひ、一年中店に飾つておいたちまきも、菊水鉾のものであつた。これは偶然、と思つてゐるところにミヤタさん来店。ちまきを眼にして、私も今日お客さんにちまきを貰ひましたよ、と言ふ。もしかして、と思つて尋ねれば、これも菊水鉾のもの。うーむ、菊水鉾って人気なのかな? と首を傾げてゐる所に、アキラ 28 来店。「したたり」といふ和菓子をくれる。これは…やはり、菊水鉾で購入したものであつた。むむむ、何故みんな菊水鉾なのか? アキラ 28 に詰め寄つてみる。

「えー、多分、それは…菊水鉾のちまきが一番格好いいからぢやないですか。他の鉾のちまきは、みんな地味なんですよ。菊水鉾のは、赤や黄色の紙を使つたりして、派手ぢやないですか」

 なるほど。ところで、アキラ 28 と云へば、このあいだ親に内緒でお遍路に出たものの、新聞に撮られた写真が掲載されて、親にばれてしまつた、といふ事件が記憶に新しいが、似たようなことが、ニュースで報道されてゐた。それは、殺人未遂で指名手配中の犯人が、お遍路に姿をやつして逃げ回つてゐたのだけれど、その写真が新聞にたまたま掲載され、時効寸前に捕まつた、といふ事件だ。この事件のことをアキラ 28 に言ふと、「ああ、あの人とは会いましたよ」といふ。なんでもその人は、お遍路界では有名人らしく、なんと! 写真集まで出てゐるのださうだ。指名手配中なのに。

 で、アキラ 28 は、お遍路の途中でたまたまその人に会つたさうなのだが、いい若いもんがこんな事をしてゐる暇があつたら働け! と怒鳴りつけられ、自分が如何に苦労して働いてきたか、といふ話を交へて長々と説教されたのださうだ。両手を眼の前に突きつけられて、「見ろ! これが真面目に働いてきた人間の手だ! 見ろ!!」とやられ、アキラ 28 はかなりうんざりしたのだと云ふ。まさかその手が、人を殺しかけた手だつたとは…。

 ババさん来店。「映画『スパイ・ゾルゲ』を観てきたんですけどね、生身の役者が昭和天皇を演じてゐましたよ。それも、かなり喋る」と言ふ。それは、凄い。そんな映画、今まであまりないんぢやないのかなあ、知らないけど。で、肝心の映画の方はどうでしたか? 「壊滅的でした」。やはり…。

 店の帰りに、菊水鉾に寄つてみる。(多分)初めてみる菊水鉾は、やたら勇壮であつた。確かに、格好いい。さすが、人気の鉾だ、と納得して、家路についたのでした。

小川顕太郎 Original:2003-Jul-15;