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 Diary 2003・7月5日(SAT.)

懐かしく
不吉な予感

 タカハシくん来店。話がマイケル・ジャクソンのことに及び、マイケルって知ってる? と問へば、「知ってゐます」と答へながら、スリラーの踊りの真似をしてみせたので、ほう、これは知つてゐるな、オイシンは知らなかつたのに感心、感心、と思つてゐると、「えー、確か、この曲は…『ホラー』ですよね」と言つたのでビックリした。「ホラー」って…。

 そこにベッチ来店。神戸に行つたさうなのだが、その時に、キタアキくんが働いてゐるバー「マンホール」に寄つてきたさうだ。キタアキくんは、元気に働いてゐたらしい。…で、ベッチと云へば、皇室。話は皇室のことに及んだのだが、それを聞いてゐたタカハシくんが、「コーシツ? コーシツって、何ですか」と尋ねてきた。

 皇室、といふのはねえ、天皇陛下、及びその御一族の方々のことだよ。

「へー、…天皇って、何をしてゐるんすか?」

 天皇陛下は、日本が平穏無事に過ごせるやう、お米が豊作になるやう、祈つてくれてゐるんだよ。

「はー、なんで、そんなことするんすか?」

 そりゃ、天皇陛下は神道の長であり、日本を守るのが仕事だからだよ。ところで、「神道」って、知つてる?

「知らない、です」

 神道、といふのはねえ、古来からの日本独自の宗教なんだ……。

 これらの会話は、実は多少手が加はつてゐるので、分からないと思ふが、実際のタカハシくんの話(喋ること)は、ちと分かりづらい。なんといふか…はつきり云つてしまえば、文章になつてゐない。もちろん、完全な文章のやうに言葉を喋る人はゐない訳だが、それでも、文法などは守られてゐるはずだ。さうでなければ、意志疎通は出来ないだらう。が、多分、タカハシくんの喋ることは、文法がない…。私が必死に思ひ出して、ここに再現しやうと思つても、出来ない。といふ代物なのだ。どうしたつて、文章になつてしまう。タカハシくん、ちよつと本でも読んだ方がいい、かも…。

「本、めっちゃ読みたいんすけどねー、何読んだらいいのか、本って、めっちゃあるぢやないですか、本屋でもワーって感ぢで、もー、あ、いいって感ぢで、めんどくさ! …本って、何を読んだらいいんですか? 文庫本ですか?」

 いや、文庫本といふのは本の形であつて、ジャンルや内容を表すものじゃないし…。

「虐待もののエッセイとか読んでゐるんすけど、それぢやダメですか?」

 虐待もののエッセイ? な、なんだそれ。

「やっぱー、サ、サスペンス? とかが良いんすか? エスエフ? 想像力が鍛へられるんすか?」

 いや、あの、…タカハシくん、言つてゐることが無茶苦茶や…。

 そこで、私が何冊か読む本をあげることにした。が、これ、この感覚、何だか懐かしいやうな、不吉なやうな…。

 明日からが、怖い。

小川顕太郎 Original:2003-Jul-7;