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 Diary 2003・1月31日(FRI.)

風邪の一日

 かなり良くなつた。嫌がる私を押さへつけて、無理矢理トモコが私の喉や胸に塗りつけたヴィックス・ヴェポラッブが効いたのかもしれない。あるいは、嫌がる私をどやしつけて、無理矢理トモコが私に飲ませたプロポリスが良かつたのかもしれない。塗り薬はくるしく、飲みくすり(?)はにがかつた。あのやうな体験を続けなければならないくらゐなら、死ぬか治るかした方がマシだ。とはいへ、事態はさう簡単に思ひ通りに運ぶ訳もなく、私はホットカーペットの上に座り、毛布にくるまつて半日を暮らした。

 ポットにお湯をいれ、上海で買つてきたお茶をひたすら飲みながら、みかんなんぞを食ふ。先日から読みかけの『奇偶』山口雅也著(講談社)を読んだりする。この小説は、「偶然」に関する小説である。故に、確率論の話や、ギャンブラー錯誤の話、量子力学の話、易の話、シンクロニシティー、ミナカタ曼陀羅、EPR 思考実験、多世界解釈、人間原理宇宙論…と、何度となくオパール内で話され、この日記にもしばしば顔を出した事があるやうな話題が満載である。非常に興味深い。しばし、頭痛を忘れて読みふける。

 夜になつて、店に出掛ける。店に出ても、声が出にくいので、あまりカウンターの前に立つて常連さんと喋らないやうにする。つもりだつたのだが、ババさんがオイシンにブラッド・デイビスの説明をしてゐて、「出演作は『ミッドナイトエキスプレス』と『炎のランナー』、えー、有名なのは、それぐらゐだつたかな?」と首を傾げたのをみて、思はず、「『ケレル』ですよ、『ケレル』」と口を挟んでしまう。ババさんが「あ、そうそう!」と言つたところで、トモコが「あと、テレビドラマの『警察署長』! キース・キャラダインが出てるやつ」と言ひ、私も「あー、そうそう!」と大声をあげてしまふ。いたた、喉が痛い。

 でも、そろそろ治りさうです。

小川顕太郎 Original: 2003;