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 Diary 2003・1月6日(MON.)

上海日記 1日目
前編

出発フライト到着タクシーグランドハイアット上海

出発

 昨晩仕事を終てから、ほぼ徹夜で旅行の準備をする。我々は MK タクシーのハイヤーを使つて関西空港まで行くのだ。朝早い事もあり、家の前まで迎へに来てくれるので、眠りながら行く事も出来るだらうし、この方法が一番楽であらうと判断したのだ。値段は一人 3000 円なので、トモコと二人で 6000 円。朝の 6 時半に迎が来る。結局万全な用意は出来ず、適当な所で切り上げ、家の中はグチヤグチヤのまま、出掛ける事に。外に出ると、雪が積もつてゐた。

フライト

 久しぶりの空港なので、些か興奮気味。早速中に入り、杵屋でうどんを食。免税店で頑張るトモコと押し問答。「何故今から買い物をしなければならないんだ!」「帰りにはここには寄る事ができないのよ!」。結局何も買ずに、搭乗。眠いはずなのに、興奮の故か眠られず、ワインを飲み、機内食を平らげる。ジャンクな機内食も、うまく感じられる。約 2 時間のフライト。着時には耳が激痛に襲はれる。トモコは半ば死にかけてゐる。>> 上海寫眞帳 01

到着

 上海は今や社会主義とは言へない、とは言ふものの、今だ官の人間は「社会主義的」だと言ふ。確かに、税関の人間は無愛想で高圧的であつた。が、税関の人間と言ふものは、どこでもこんなものではないだらうか。私にとつては、少なくとも私の事を「イエローモンキー」と冷笑したロンドンの税関よりは、ずつと気持ち良かつた。我々は「グランドハイアット上海」に宿泊する事になってゐるので、まず空港にある「グランドハイアット上海」のカウンターに行く。そこには、男前で英語の堪能な係員の人が居り、実に、驚くべきほど、丁寧で気持ちの良い対応をしてくれる。タクシー乗り場にまで荷物を持つて連れて行つてくれ、運転手に行き先を告げ、料金をホテル代のツケにしてくれた。ホテルのフロントで換金が出来るので、我々は空港内の銀行で、長い間並んで換金をしなくて済んだ事になる。これらの短い間にも、そつのない会話で場をつなぐ、完璧なサービス。外資系の会社(ハイアットグループ)に勤めてゐるからだらうか。とても社会主義の國の人間とは思へない。これが、我々の到着時の中国の印象であつた。>> 上海寫眞帳 02

タクシー

 我々が着いたのは浦東空港。ここから市内までタクシーで約 40 分ほど。このタクシーの運転がとにかく乱暴だ。しきりにクラクションを鳴らしながら、他の車とバトルを繰り広げてゐる。アクション映画ぢやないんだから。市内に入れば、さらに壮絶さを増す。他の車も、みな似たやうな乱暴な運転だからだ。これはすでにアクション映画ですらない。アクション映画では、せいぜい数台の車がバトルを繰り広げるだけだが、全ての車がバトルをしてゐるとなると……もうただの無茶苦茶である。タクシーの中ではラジオがかかつてり、『明日にかける橋』『SUDDENLY』などを(多分)シナ人が歌つてゐた。ダサくて、なかなか良い。「WELCOME TO SHANGHAI」という、幕が見へる。ホテルまで約 130 元。>> 上海寫眞帳 03

グランドハイアット上海

 グランドハイアット上海への宿泊を決めたのは、トモコである。トモコに言はせれば、グランドハイアット上海は世界中のハイアットグループの中でも最高ランクのホテルであり、ここに泊まるために上海にわざわざ来たと言つても過言ではない、らしい。世界で最も高いホテル(ビルとしては 3 番目)で 88 階建て。ガラス張りの部屋からは、上海バンドの絶景が見へる。このグランドハイアット上海の部屋は、大きく二つのランクに分かれる。普通のランクの部屋達と、スイートなどを含むランクが上の「グランドクラブ」とい部屋達だ。よく日本である「高級ホテルに泊まれるツアー」と言ふやつは、ほとんどの場合、普通の部屋に泊まることになる。実際トモコが日本から電話を直接かけて調べたのだが、普通の部屋はほぼ日本のツアー会社によつて押さへられてゐた。しかし、さらに調べると、今はシーズンオフ中で、グランドクラブの部屋も安くなつてり、航空チケットなどを格安であげると、全体にかかる費用はツアーとあまりからない、といふ事が分かつたのだ。これなら、グランドクラブに泊まらないのは、アホと言へる。我々は、グランドクラブ(もちろんスイートではないが)を予約した。

 さて、グランドクラブの数ある特典のひとつに、プライベートチェックイン・アウトといふものがある。これは、グランドクラブの人達専用に別にフロントが設けてあり、そこで優雅にソファに座りながらチェックイン・アウトが出来る、といふものなのだが、実は我々はこの事をよく把握してゐなかつた。故に最初に普通のフロントに並び、立ったままでチェックインをしやうとしたのだが、うまく出来ない。名前が予約の中にないのだ。しばらくして上に行けと言はれ、よく分からないまま上にあがりプライベートフロントに来たのだが、そこはとてもフロントには見へない。非常にマゴマゴしながら、なんとかチェックインを済ませたとは言ふものの、なんだか振り回されたやうな気がして、すつかり疲れ果ててしまつた。

 その気持ちが持続してゐたのか、部屋に入つても、それほどの感動がない。部屋からの絶景は、空が曇つててよく見ない! 部屋の中も、なんだかありきたりのやうな気がして、スタルクがデザインした浴室にケチをつけたりする。実はこの時、疲れが絶頂に達してゐたのだ。寝てないし。だからここで仮眠でもとつて、元気を取り戻すべきだつたのだが、すでに時間は午後 3 時。ここで寝てしまつたら、もう今日は上海の街に出られなくなつてしまうだらう。さう思ひ、気力を奮ひ起こして出掛ける事にした。これが、良くなかつたのだ。>> 上海寫眞帳 04 | 05 | 06 | 07

小川顕太郎 Original: 2003;