京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > Diary > 03 > 0105
 Diary 2003・1月5日(SUN.)

狂つた一頁

 京都文化博物館に『川端康成 文豪が愛した美の世界』を見に行く。主に、川端が生前に集めた美術品からなり、有名なロダンの『女の手』や、聖徳太子立像、明恵の夢記断簡を表装して掛け軸にしたもの、国宝に指定された浦上玉堂の『凍雲篩雪図』と池大雅・与謝蕪村『十便・十宜図』などが、並んでゐる。他にも直筆原稿や、ノーベル賞のメダル、身の回りにあつた文房具、親交のあつた画家達の作品など。なかなか堪能する。ちなみに、もちろん川端は歴史的かなづかひだが、原稿を見ると、「な」を「奈」と書いてゐる箇所がある。「か奈しむ」のやうに。正確に言ふと「奈」ではなく、「奈」をくづした字だが、まあ、分かるでせう?

 これだけのものを、碌に金も払ずに買集めたのかと思ふと、やはり川端は凄い! と感嘆してしまう。並みの度胸で出来る事ではない。さすがは「美しい日本の私」である。

 展覧会と同時に、3 階で、川端康成にちなんだ映画の上映を行つてゐた。本日は『狂つた一頁』。衣笠貞之助監督、川端康成原作・脚本(一部)、1926 年(大正 15 年)作品。日本で最初の前衛映画として有名な作品である。精神病院を舞台にした、ドイツ表現主義風な作品で、白黒・無声・59 分。かなり面白い。最初から最後まで狂人達の乱舞止まず、特に、狂人達の暴動シーンは凄い。くじ引きの一等賞で、箪笥が当たるのも凄い。確かに、狂つた作品。本来は無声の作品だが、今回の上映は、1975 年に衣笠貞之助監修で音をいれたサウンド版であつた。この前衛音楽もなかなかよい。ババさんも、昔に観たさうなのだが、その時はピアノの生伴奏付きで、その伴奏がまた狂つてゐて、よかつたさうだ。

 あああ! もう出発の時間が迫つてきた。まだ何も用意ができてない。……こんなものを書いてゐる場合ぢやない。嗚呼。

小川顕太郎 Original: 2003;